父樣とつさん)” の例文
新字:父様
それではわたしもどります、亥之いのさんがかへつたらばよろしくいふていてくだされ、お父樣とつさんもお母樣つかさん御機嫌ごきげんよう、此次このつぎにはわらふてまゐりまするとて是非ぜひなさゝうにたちあがれば
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よ、おまへ此樣このやう病氣びやうきになつてから、お父樣とつさんもお母樣つかさん一晩ひとばんもゆるりとおやすみになつたことはない、おつかれなされておせなされて介抱かいはうしてくださるのを孝行かう/\のおまへ何故なぜわからない
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今夜こんやかへつてれとてつて引出ひきいだすやうなるもことあらだてじのおや慈悲じひ阿關おせきはこれまでの覺悟かくごしてお父樣とつさん、お母樣つかさん今夜こんやことはこれかぎり、かへりまするからはわたし原田はらだつまなり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そとなるはおほゝとわらふて、お父樣とつさんわたし御座ござんすといかにも可愛かわゆこゑ、や、れだ、れであつたと障子しようじ引明ひきあけて、ほうおせきか、なんだな其樣そんところつてて、うしてまたこのおそくにかけて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父樣とつさん私で御座んすといかにも可愛き聲、や、誰れだ、誰れであつたと障子を引明けて、ほうお關か、何だな其樣な處に立つて居て、何うして又此おそくに出かけて來た、車もなし、女中も連れずか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)