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かいそう
ふりがな文庫
“
潰走
(
かいそう
)” の例文
このあたりから、幕軍全く
潰走
(
かいそう
)
して、大阪へ逃げるものあり、紀州に落ちるものあり、桑名藩士等は大和から本国へ直接逃げて行った。
鳥羽伏見の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そして、
最後
(
さいご
)
は、
火花
(
ひばな
)
を
散
(
ち
)
らす、
突撃戦
(
とつげきせん
)
でありました。
敵
(
てき
)
を
散々
(
さんざん
)
のめにあわして
潰走
(
かいそう
)
さしたが、こちらにも
多
(
おお
)
くの
死傷者
(
ししょうしゃ
)
を
出
(
だ
)
しました。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
敗軍の
鯨波
(
げいは
)
は、まっ黒に北へなだれ、西へまよい、その間にもなお多くの死傷者を出しながら、やがて南のほうへ一路
潰走
(
かいそう
)
しはじめた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとより異議を立てる者もあったが、多くの専門家の意見によれば、退却はそこでは
潰走
(
かいそう
)
に終わるのほかはなかったであろう。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
憤激してる逃走者らは、自分らの
潰走
(
かいそう
)
をつぐなうために、追っかけてくる者どもをののしり、一撃をも受けない先から「人殺し!」と叫んでいた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
前晩寝床の上で背中を丸め「軍は
潰走
(
かいそう
)
した。我等は勝利を得、敵将五人を捕虜とし云々」
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
敵は一たまりもなく
潰走
(
かいそう
)
したのである。逃ぐるを追って、首をあげた者が、彼方此方の野や河原で、声いッぱい、名乗りをさけんでいる。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
襲撃軍は死者と負傷者とを遺棄したまま、列を乱し混乱して街路の先端に退却し、再び
闇夜
(
やみよ
)
のうちに見えなくなってしまった。先を争う
潰走
(
かいそう
)
だった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
けれども、ナポレオンがすでに十里ばかりの距離に迫ってき、それと会戦を期して進軍していた時、その小軍勢は突然
狼狽
(
ろうばい
)
し出して、森の中に
潰走
(
かいそう
)
してしまった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
是を地に
擲
(
なげう
)
って弟の氏照に向い、一片の文書で天下の北条を
恫喝
(
どうかつ
)
するとは片腹痛い、兵力で来るなら平の維盛の二の舞で、秀吉など水鳥の羽音を聞いただけで
潰走
(
かいそう
)
するだろうと豪語したと云う。
小田原陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それに新田方の江田貞経も勇将ではあったろうが、東上軍の大兵のまえには、一トたまりもなく
砦
(
とりで
)
をすてて
潰走
(
かいそう
)
したものにちがいなかった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういう深い悲しみは、本心のあらゆる軍勢を
潰走
(
かいそう
)
させる。それこそ致命的な危機である。この危機から平然と脱して、義務のうちにしかと足をふみしめ得る者は、世にあまりない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
潰走
(
かいそう
)
した蜀兵はみな城中にかくれて、ひたと四門をとじてしまった。蜀の名将
張任
(
ちょうじん
)
の命はよく行われているらしい。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄徳は一軍を率いて、力闘につとめたが、もとより孔明から授けられた計のあること、防ぎかねた態をして、たちまち趙雲とひとつになって
潰走
(
かいそう
)
しだした。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
海上の火が、陸の浦兵部丞の戦意を、極度に
沮喪
(
そそう
)
させたことはいうまでもない。
潰走
(
かいそう
)
はこの刹那から始まった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一ノ谷から
潰走
(
かいそう
)
した大半の敵は、彼の予想どおり、多くは船で水路を逃げのび、屋島附近へ集合している。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう一軍は
田無
(
たなし
)
方面へと、三分裂の
潰走
(
かいそう
)
を止めどなくして、かず知れぬ捕虜や死傷者を途中に捨てた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
追撃にかかった僧兵の一隊は、川を
遡
(
さかのぼ
)
って先に廻り、やがて
潰走
(
かいそう
)
して来る見込みで、敵を待っていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
潰走
(
かいそう
)
乱軍のなかに、武田方の
好餌
(
こうじ
)
となって
捕捉
(
ほそく
)
されたり、もうひとつの原因は、丹波島の下流にあたる犀川の深い流域へ、向う見ずに駆けこんで、溺れ流されたり
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
賤
(
しず
)
ヶ
岳
(
たけ
)
から
潰走
(
かいそう
)
するありさまを見ると、なんとなく心がいたんで、いっそのこと、島をでてふたたび主君の馬前に立とうかとさえ——ツイさっきも迷ったのである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五丈原頭
孔明
(
こうめい
)
の
喪
(
も
)
を秘して
潰走
(
かいそう
)
した蜀兵の哀寂と同じものが、一同の胸へこみ上げてくるのだった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
道々見る敵の死骸によって、
潰走
(
かいそう
)
して行った敵の主脳部の径路が彼にはやや分って来たからである。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遮
(
しゃ
)
二無二、本陣の将士を督して勝頼の身を、重囲から救い出した。——これを敵方から見れば、明らかに、甲州の中軍は、算をみだして、
潰走
(
かいそう
)
し出したものといえよう。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
闇のなかに狼狽をきわめた平軍は、われがちに
潰走
(
かいそう
)
し、ほとんど一矢も射なかった程である。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしそのときすでに城兵の大半は
潰走
(
かいそう
)
し、前日までの頑強性は失われた後のことなので、正確なる城乗り一番の軍功は依然
搦手
(
からめて
)
からはいった虎之助の上にあることはいうまでもない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒田父子の主人筋で、一たん織田方へ味方しながら、中道で寝返りを打った
御著
(
ごちゃく
)
の小寺
政職
(
まさもと
)
は、三木陥落と聞くやいな、戦いもせず、居城御著をすてて、
備後
(
びんご
)
方面へ
潰走
(
かいそう
)
してしまった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顔良
(
がんりょう
)
が討たれたので、顔良の司令下にあった軍隊は
支離滅裂
(
しりめつれつ
)
、
潰走
(
かいそう
)
をつづけた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いったんここに
潰走
(
かいそう
)
を止めても、なお浮き足の
熄
(
や
)
まないのもむりはなかった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おびただしい兵糧を置き捨てて、曹軍の先頭は、四方に
潰走
(
かいそう
)
してしまった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、闘志を失った池田の士卒は、三々五々、田のあぜ、山の小道、林や湿地のあいだなど、道をえらばず、
潰走
(
かいそう
)
していた。——その思い思いな人間の流れは、やがて、みな矢田川の岸へ出た。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに姜維の奇略に落ちて、さんざんに駈け散らされた趙雲の蜀兵は、平路を求めて
潰走
(
かいそう
)
してくると、ここにまた、馬遵の旋回して来るあって、
腹背
(
ふくはい
)
に敵をうけ、
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに惨敗を喫した。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
潰走
(
かいそう
)
する足利の大軍を追いかけ追いかけして、その頃の
難波津
(
なにわのつ
)
から
渡辺橋
(
わたなべばし
)
のあたりまでよせて来たのが十一月の末、二十六日の夜明け方だったという。……ちょうど今夜のように寒かったろう」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「押しつめて、わざとゆるみ、敵を
驕
(
おご
)
らせて味方は
潰走
(
かいそう
)
して見せる。その間、ひそかに大軍をまわし、中道を遮断すれば、関羽は十方に道を失い、孤旗をささえて悲戦の下に立つしかありません」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作手
(
つくで
)
の
甘泉寺
(
かんせんじ
)
に手厚く葬ったのでも分るし、強右衛門の一言のために、大敗北を招いて
潰走
(
かいそう
)
した甲州兵のうちでも、誰ひとり鳥居という名を
悪
(
あ
)
しざまに
罵
(
ののし
)
る者がなかったのを見ても明らかであった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“潰走”の意味
《名詞》
潰走(かいそう)
戦に敗北し逃げること。
(出典:Wiktionary)
潰
常用漢字
中学
部首:⽔
15画
走
常用漢字
小2
部首:⾛
7画
“潰走”で始まる語句
潰走兵