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淫猥
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いんわい
ふりがな文庫
“
淫猥
(
いんわい
)” の例文
そこはある半羊神が百万の富者になり卑しいチュルカレーがプリアプ神になったという話しにふさわしい、
淫猥
(
いんわい
)
な
陥穽
(
あな
)
だった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
祈ると同時に大原君が家庭教育
取調
(
とりしらべ
)
の任をおわって海外から御帰朝なさる時分には我邦の社会にもまた野蛮的の
飲酒会
(
さけのみかい
)
や
淫猥
(
いんわい
)
なる宴会の
跡
(
あと
)
を
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
非常に
淫猥
(
いんわい
)
な
獣
(
けもの
)
じゃそうでね、下宿した百姓の娘などは、その声を聞くと震えるですわい、——現在私も、それは知っとる。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ロア・デ・リボー(
淫猥
(
いんわい
)
王)わが邦中古
傀儡
(
くぐつ
)
の長吏様の親方が所々にあって
本夫
(
ほんぷ
)
外の男と親しむ女人より金五片ずつの税を
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そうすると口では言えないいろいろ
淫猥
(
いんわい
)
なことが平気にそれからそれへととっぴに
彩
(
いろどり
)
をつけて想像される。それがまた逆に彼の慾情を
煽
(
あお
)
りたてた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
数年来彼は毎朝、くだらない文学新聞の
淫猥
(
いんわい
)
な
頽廃
(
たいはい
)
的な小説を
耽読
(
たんどく
)
していた。そのために頭が
変梃
(
へんてこ
)
になっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
僕達は、あの
淫猥
(
いんわい
)
なアクロバティック・ダンスを見て帰ると、其の次の日には、僕の室をすっかり閉めきって、二人で昨夜のダンスを真似てみるのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
淫猥
(
いんわい
)
で
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
に勘定が高く、白痴のヤミ屋がゆくものと決めていた社交喫茶というものにも、桂子が勤めているときき、二、三度場所をかえ、顔を出してみた。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
わたくしはふと江戸の戯作者また浮世絵師等が幕末国難の時代にあっても泰平の時と変りなく
悠々然
(
ゆうゆうぜん
)
として
淫猥
(
いんわい
)
な人情本や春画をつくっていた事を
甚
(
はなはだ
)
痛快に感じて
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこでは、考え
得
(
う
)
るあらゆる奇怪なる遊戯が行われた。パリのグランギニョルにならった、血みどろで
淫猥
(
いんわい
)
な小劇、各種の
試胆会
(
したんかい
)
風な催し物、犯罪談、etc、etc。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この話は三上の直接の、彼自身だけに関する露骨な
淫猥
(
いんわい
)
な話よりも、聴衆に受けがよかった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
淫猥
(
いんわい
)
とも云えば云えるような
陰翳
(
いんえい
)
になって顔や
襟頸
(
えりくび
)
や手頸などを
隈取
(
くまど
)
っているのであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
三種類の外国語に熟達したが、それも、ただ、外国の好色
淫猥
(
いんわい
)
の詩を読みたい為であった。僕の空想の胃袋は、他のひとの五倍も広くて、十倍も
貪慾
(
どんよく
)
だ。満腹という事を知らぬ。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
世には
淫猥
(
いんわい
)
無頼
(
ぶらい
)
の婦人多かるに、
独
(
ひと
)
り彼女の境遇のいと悲惨なるを
憐
(
あわ
)
れむの余り、妾の同情も自然彼女に集中して、
宛然
(
さながら
)
親の子に対するが如き有様なりしかど、あたかも同じ年頃の
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
盆踊りの
後
(
あと
)
で
淫猥
(
いんわい
)
の実行が行われるから困ると非難する者もあるが、その実行は盆踊りの後に限った事ではない。芝居の
帰途
(
かえり
)
にもある。活動写真の戻りにもある。日々谷公園の散歩中にもある。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
人が皆
挙
(
こぞ
)
って邪悪だと見なすようなあらゆる
淫猥
(
いんわい
)
な欲望を、この少年はもっていた。それが突風のように不意にさっと起こってきて、彼をつかみ取った。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
静軒は
滑稽諧謔
(
こっけいかいぎゃく
)
の才あるに任せ
動
(
やや
)
もすれば好んで
淫猥
(
いんわい
)
の文字を
弄
(
もてあそ
)
んだが、しかしその論文には学識
頗
(
すこぶる
)
洽博
(
こうはく
)
なるを知らしむるもの
鮮
(
すくな
)
からず、またその詩賦には風韻極めて
誦
(
しょう
)
すべきものが多い。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし書物にも病人の
慰藉
(
いしゃ
)
にならずして悪い刺撃になるような
淫猥
(
いんわい
)
なものが多いし、花にも梅だの
罌粟
(
けし
)
だのというような人体に害するものあるからよほどその種類を選択しなければならんよ
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
彼女は神に話しかけて、罪は神にあるのだと強情に主張した。あるいは情欲の炎が眼に燃えてきた。そして自分でも知らないような
淫猥
(
いんわい
)
な言葉を発した。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
もし
淫猥
(
いんわい
)
な芝居が演ぜられていても、「これは淫猥だ、」とは彼らは言わなかった。彼らはこう言った。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一人の
舞妓
(
まいこ
)
のために、一人の
歌妓
(
かぎ
)
のために、某氏の情婦のために、あるいは某夫人の
贔屓
(
ひいき
)
の女のために、
歌劇
(
オペラ
)
を上演するのだ。君らは
淫猥
(
いんわい
)
なことをしか頭においていないんだ。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
皆りっぱな紳士であるが、昔の情婦たちの雇い監督となり、彼女らの取り引きや情交などを監視した。社交界の婦人は盗みを事としていた。男子は媒介人であり、娘は
淫猥
(
いんわい
)
だった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“淫猥”の意味
《名詞》
淫猥(いんわい)
淫らで卑猥なこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
淫
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
猥
漢検1級
部首:⽝
12画
“淫”で始まる語句
淫
淫蕩
淫奔
淫売
淫婦
淫靡
淫売婦
淫祠
淫逸
淫乱