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洟
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ぱな
ふりがな文庫
“
洟
(
ぱな
)” の例文
鼻はこする、水っ
洟
(
ぱな
)
はかむ。笊の中は掻きまわす。嗅いで見る。おくびはする。
穢
(
きた
)
ならしいの、
厭
(
いや
)
らしいのといったらないのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
青
(
あお
)
ッ
洟
(
ぱな
)
だの、
腫物
(
できもの
)
たかりだの、眼やにくそだの、味噌っぱだの、頬も手も、かじかんでる癖に、寒さを知らない伊吹山の麓の風の子たちが
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
声色
(
こわいろ
)
にしちや語呂の悪い、
啖呵
(
たんか
)
を切り出した所は豪勢だがの、
面
(
つら
)
を見りや寒いと見えて、
水
(
みづ
)
つ
洟
(
ぱな
)
が鼻の下に光つてゐる。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
細々としてゐるくせに、妙にふくよかなお初の風情は、平次もホロリとさせられましたが、それより八五郎の感激は大したもので、水つ
洟
(
ぱな
)
を横なぐりに
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
みんなが
急
(
きゅう
)
に
散
(
ち
)
ったせいか、
水
(
みず
)
ッ
洟
(
ぱな
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
たぜ。
風邪
(
かぜ
)
でも
引
(
ひ
)
いちゃァたまらねから、そろそろ
帰
(
かえ
)
るとしべえかの
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
よし、よし、と赤児でもあやす気持ちで
頸筋
(
くびすじ
)
を
撫
(
な
)
でてやると、驢馬は鼻をびくつかせながら口をもってきた。水っ
洟
(
ぱな
)
が顔に散った。許生員は馬
煩悩
(
ぼんのう
)
だった。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
眼カラハダラシナク涙ガ流レ出シ、鼻カラハ水ッ
洟
(
ぱな
)
ガ、口カラハ
涎
(
よだれ
)
ガダラ/\ト流レ出シタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
見ると山羊髯のおやじは仕事が閑散だと見えて、大阪の新聞の経済欄を読みながら、朝日を吸っては
咳
(
せ
)
き入り、咳き入っては水ッ
洟
(
ぱな
)
をすすり上げている。タヨリない事夥しい。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ばあさんなんぞ
水
(
みず
)
っ
洟
(
ぱな
)
あたらして泣いたぞ、……夫婦は二世といってたって、縁が切れれば他人だ、てめえなんぞはのたれ死にをしたっていい人間だ、それをお兼さんはこんなに
ゆうれい貸屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
青っ
洟
(
ぱな
)
を少しずつ舐めている子供、うしろにのけ
反
(
ぞ
)
ったり、机にうつ伏せたり、脚を腰かけの横にぬーっと出してまるで倒れかかった自分の身体を危く支えたりしていた子供たちが
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
すぐ水ッ
洟
(
ぱな
)
を
啜
(
すす
)
ったのは、目明し万吉、屑屋に早変りの心支度が、自然にそうさせたものなのだ。膝や
袂
(
たもと
)
の土を払って、鉄砲笊を斜めにかつぎ
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
框
(
かまち
)
で煙管をはたきながら、大真面目におれがひやかすと、あいつは酔もさめたと見えて、又
水
(
みづ
)
つ
洟
(
ぱな
)
をすすりこみの、泣かねえばかりの声を出して
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「御冗談で、あつしは逆樣に振つたつて、水つ
洟
(
ぱな
)
も出ない方で、あべこべに文字花に
貢
(
みつ
)
がれた口ですよ」
銭形平次捕物控:286 美男番附
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ、正月なので、広い台所の板敷の隅っこで、ほかの下男たちと共に、
水
(
みず
)
ッ
洟
(
ぱな
)
をすすりながら、
粟
(
あわ
)
の雑煮餅を、めずらしく喰べただけだった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十月の
素袷
(
すあわせ
)
、
平手
(
ひらて
)
で水っ
洟
(
ぱな
)
を
撫
(
な
)
で上げながら、突っかけ草履、前鼻緒がゆるんで、左の親指が少し
蝮
(
まむし
)
にはなっているものの、
十手
(
じって
)
を後ろ腰に、
刷毛先
(
はけさき
)
が
乾
(
いぬい
)
の方を向いて、とにもかくにも
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの野郎は
水
(
みづ
)
つ
洟
(
ぱな
)
をすすりこんぢや、やれ府中で土蔵を破つたの、やれ日野宿でつけ火をしたの、やれ厚木街道の山の中で巡礼の女をなぐさんだの、だんだん途方も無え悪事を
饒舌
(
しやべ
)
り立てたが
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
魚の骨みたいに体には肉がないし、しじゅう水ッ
洟
(
ぱな
)
はすすっているし、
無精
(
ぶしょう
)
で、うす汚いこと、仕事場の
漆
(
うるし
)
ベラや、
砥
(
と
)
の土や、漆茶碗などと見分けのつかない程である。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
十月の
素袷
(
すあはせ
)
、平手で水つ
洟
(
ぱな
)
を撫で上げ乍ら、突つかけ草履、前鼻緒がゆるんで、左の親指が少し
蝮
(
まむし
)
にはなつて居るものゝ、十手を後ろ腰に、
刷毛先
(
はけさき
)
が
乾
(
いぬゐ
)
の方を向いて、兎にも角にも、馬鹿な威勢です。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
水ッ
洟
(
ぱな
)
をチュチュさせて、お客様のそばへ寄るとな、それ……お客様の
鮟鱇鍋
(
あんこうなべ
)
がまずくならあ
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水ッ
洟
(
ぱな
)
をすすりながら独り力み泣きに鼻づらを赤くして泣いた事もあった——などというはなしは、誰も清盛から二度三度は聞かされている筈だが、まるで遠い遠い昔ばなしの事でもあるように
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“洟(
鼻水
)”の解説
鼻水(はなみず)は、鼻から出る流動性あるいは半流動性の液体。鼻汁・洟(はな)ともいう。
また、鼻水から水分が抜け固体となったものを鼻糞(はなくそ)という。
(出典:Wikipedia)
洟
漢検1級
部首:⽔
9画
“洟”を含む語句
水洟
洟垂
鼻洟
洟水
洟汁
手洟
青洟
洟紙
水鼻洟
洟打去
青洟垂