河海かかい)” の例文
例へば山嶽さんがく河海かかい郊原こうげん田野でんや、一も順序ある者なし。故にこれに命名せんと欲せば人間の見聞し得る所の処一々に命名せざるべからず。地名これなり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ものたましひがあるとの想像さうざうむかしからあるので、だい山岳さんがく河海かかいより、せうは一ぽんくさ、一はなにもみなたましひありと想像さう/″\した。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
有若曰く、あにただに民のみならんや。麒麟きりんの走獣に於ける、鳳凰ほうおうの飛鳥に於ける、泰山たいざん丘垤きゅうてつに於ける、河海かかい行潦こうろうに於けるは類なり。聖人の民に於けるもまた類なり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
あしたに金光をちりばめし満目まんもくの雪、ゆうべには濁水じょくすいして河海かかいに落滅す。今宵こんしょう銀燭をつらねし栄耀えいようの花、暁には塵芥じんかいとなつて泥土にす。三界は波上のもん、一生は空裡くうりの虹とかや。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なやましきやなぎかぜさへ、あかありむらがごとし。あれ、け、雨乞あまごひこゑして、すさまじくせみの、あぶらのみあせしたゝるや、ひとへにおもふ、河海かかい山岳さんがくと。みねひ、みづぶ、戀人こひびとなるかな。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)