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殺到
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さっとう
ふりがな文庫
“
殺到
(
さっとう
)” の例文
簡単ならざるを得ぬ手紙の文言(なぜといえば、おびただしい要求がこの成功者、この信頼に値する者のもとへ、
殺到
(
さっとう
)
したからである)
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
薄暗い
神殿
(
しんでん
)
の奥に
跪
(
ひざまず
)
いた時の冷やかな石の
感触
(
かんしょく
)
や、そうした生々しい感覚の記憶の群が
忘却
(
ぼうきゃく
)
の
淵
(
ふち
)
から一時に蘇って、
殺到
(
さっとう
)
して来た。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
また、人穴城では、いまの敗北をいかった
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
がこんどはみずから
望楼
(
ぼうろう
)
をくだり、さらに
精鋭
(
せいえい
)
の
野武士
(
のぶし
)
千人をすぐって
嵐
(
あらし
)
のごとく
殺到
(
さっとう
)
した。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女たちは金に
殺到
(
さっとう
)
して、そのゴールデン・バットを強要した。金としては思う
壺
(
つぼ
)
だったろう。バット一本の懸け引きで、気に入った女たちを自由に
奔弄
(
ほんろう
)
していったのだ
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ドタドタと階段をおっこちて、事務所に
殺到
(
さっとう
)
、事務員のひとが、
呆気
(
あっけ
)
にとられているか、笑っているのか
見極
(
みきわ
)
めもできぬ素早さで算盤をひったくり、次いで、階段を、
大股
(
おおまた
)
に
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
入浴は、みんなの帰りがおそかったので、夕食後になり、一時に
殺到
(
さっとう
)
したため、かなりこんだ。しかし、大河のおかげで、予期しなかった入浴ができたのを、みんなは心から喜んだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
妻児が呼ぶ頃は、夕立の
中軍
(
ちゅうぐん
)
まさに
殺到
(
さっとう
)
して、
四囲
(
あたり
)
は真白い
闇
(
やみ
)
になった。電がピカリとする。
雷
(
らい
)
が頭上で鳴る。ざあざあっと落ち来る太い雨に身の内
撲
(
う
)
たれぬ処もなく、ぐっと息が詰まる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
けたたましく叫び合ってどやどやと足音荒く
殺到
(
さっとう
)
する
気勢
(
けはい
)
が伝わりました。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
吉之丞が立ちあがると、みなも立ちあがって一斉に上り口に
殺到
(
さっとう
)
した。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
患者
(
かんじゃ
)
が門前に
殺到
(
さっとう
)
し、
寸暇
(
すんか
)
もない
有様
(
ありさま
)
となってしまいました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
絶えず、上杉勢の
殺到
(
さっとう
)
を頭に置いている人々は、すぐそう考えて、緊張したが、与五郎は、長い土塀の角を左へ曲がって、回向院の大門の扉を烈しく叩いていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隅田乙吉が屍体を守って中野の家へ帰ってゆくと、入れ違いに新聞社の一団が
殺到
(
さっとう
)
して来た。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
目いろをかえた
小商人
(
こあきんど
)
や百姓や大町人は、町年寄の家へ
殺到
(
さっとう
)
した。だが、
埓
(
らち
)
があかないので、辻々にむらがり一団一団とかたまっては、
札座
(
ふだざ
)
奉行の役所へ押しかけた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんとかして面会のチャンスを
掴
(
つか
)
もうとする決死的訪問客は、入れかわり立ちかわり博士の地下室に
殺到
(
さっとう
)
したのであるが、博士は常に油断をせず、ついぞ彼等の前に姿を現したことがなかった。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
糸染川
(
いとぞめがわ
)
と
神仙川
(
しんせんがわ
)
の
合流
(
ごうりゅう
)
するところで、熊蔵の一隊と一つになり、
聖地
(
せいち
)
のごとき
百合
(
ゆり
)
の
香花
(
こうか
)
を
踏
(
ふ
)
みあらし、もうもうとした
塵
(
ちり
)
をあげて、れいの
蔦
(
つた
)
のかけ
橋
(
はし
)
まで
殺到
(
さっとう
)
した。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さあ皆で
懸
(
かか
)
れ、警官隊も来ているから、大丈夫だ」と声を聞きつけて、応援隊が飛びこんで来た。痣蟹は警官隊と聞くと舌打ちをして、入口に
殺到
(
さっとう
)
した劇場の若者を押したおし、廊下へ飛びだした。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
咲耶子
(
さくやこ
)
をてんぐるまにして引きあげてきた
鐘巻一火
(
かねまきいっか
)
のあとを
追
(
お
)
って、そこへ
殺到
(
さっとう
)
した人々がある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わあッと、彼らは
殺到
(
さっとう
)
した。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そしてそれに代る一陣の兵馬が、このときもう北山殿へ
殺到
(
さっとう
)
していたのであった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
捕吏、放免などの手ぬるさとは違って、
殺到
(
さっとう
)
するやいな
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殺到
(
さっとう
)
した新田勢は
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“殺到”の意味
《名詞》
殺 到(さっとう)
人や、質問、抗議、依頼などが一度に押し寄せること。
(出典:Wiktionary)
殺
常用漢字
小5
部首:⽎
10画
到
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
“殺”で始まる語句
殺
殺戮
殺生
殺害
殺伐
殺人
殺風景
殺生石
殺気
殺剣