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機轉
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きてん
殊に
秋の
頃に
成つてからは
滅切機轉も
利くやうになつて、
死んだお
品に
似て
來たと
他人にはいはれるのであるが
たゞ
公務の
餘暇ある
一團の
士官水兵等が
吾等を
唯ある
船室に
導き、
濡れたる
衣服を
脱がせ、
新しき
衣服を
與へ、
中にも
機轉よき一
士官は
興奮の
爲にと、
急ぎ「ブランデー」の一
杯をさへ
惠んで
呉れた。
ただ
吩咐ばかり
聞いて
居るので
自分の
機轉といふものが一
向なかつたりするので
酷く
齒痒く
思つて
居た。
お
品は二三
日此來もう
切干も
切らなければならないと
自分が
口について
云つて
居たことを
思ひ
出して、おつぎが
能く
機轉を
利かしたと
心で
悦んだ。
庖丁の
音が
雨戸の
外に
近く
聞える。