概略あらまし)” の例文
かく渾然こんぜんたる作品を得ることは困難でござりますという意味を概略あらまし陳述して、若井兼三郎の作家に対する好意を御披露に及んだ所
受取うけとり再三よく/\見終り如何にも斯樣に委しき證據あれば概略あらましは知たりと云つゝ又熟々思案するに斯る事にかゝり居ては面倒なり山内めを呼出よびいだし渠を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼は親友の前にみづからの影をくらまし、その消息をさへ知らせざりしかど、陰ながら荒尾が動静の概略あらましを伺ふことを怠らざりき、こたびその参事官たる事も
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その行列の概略あらましは、かつてシカチェ府に私が居った時分に説明したのと同一でありますからここには略します。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
をぢ君のことば短なる物語にて、その概略あらましを知りし時は、我等もいたく驚きたり。おん身はをぢ君の書を獲たるならん。その書は優しき書にはあらざりしならんといふ。
その概略あらましをば晝間峠の茶屋で其處の爺さんから聞いて來たのであつたが、いま眼の前にその本人を見守りながらその事を思ひ出してゐるといかにもいぢらしい思ひがして
山寺 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
誠に気の毒な事をしたと申しながら奥へまいって、ういう訳で今日こんにちあのような目にったか、事の概略あらましは聞いて来たが、一通りお前の口から聞かしてくれと申しまして
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何故なぜ「どうしたものだろう」かとその理由ことわけたずねて見ると、概略あらましはまず箇様こうで。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
加藤は先づ概略あらましの病状を訊いた。智恵子は痛みを怺へて問ふがまゝにこたへる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お上ではただ今老中方御評議の真最中だと、事の概略あらましせてある。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
と云うのが記事の概略あらましである。附記として斯うも書いてあった。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うかめ大岡殿の仁心じんしんを悦びかんとぶが如くに馬喰町の旅宿りよしゆくもどれば友次郎お花は今日の首尾しゆび如何なりしと右左みぎひだりより問掛とひかけるに忠八は越前守殿の仁智じんち概略あらまし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
というところから、私は、後藤貞行氏の人為ひととなりと馬について研究苦心された概略あらましを岡倉校長へ紹介しました。
その概略あらましは今物書くべき心地もせねば、くはししき事の顛末をば、羅馬に到り着きて後にこそ告ぐべけれ、手を握らで別れ去ることの心苦しさを察せよといふ程のこゝろなりき。
同伴つれというは男で斯う斯うしたものと概略あらましを語りまする。
致し候が十年程以前病死びやうし致し候由に御座候これにて澤の井の一でう御得心ごとくしんに相成候やと云に次右衞門三五郎は是をきゝいかにも概略あらまし相分あひわかりたり其若君と澤の井を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まず、いろいろの話をする前に、前提として私の父祖のこと、つまり、私の家のことを概略あらまし話します。
後はまた出来るからとまず鑿打のみうちに掛かり四、五日って概略あらまし狆が出来、これから仕上げに掛かろうという所までぎつけ、モデルの本物の狆と比べて眺めて見ると
カヤ方の仕事師は人足にんそくを使って雛形をたよりに仕事に取り掛かって、大仏の形をやり出したのですが、この仕事について私の考えは、まず雛形を渡して置けば大工と仕事師とで概略あらまし出来るであろう。
大工と仕事師とで概略あらまし出来るであろう。