植木鉢うゑきばち)” の例文
其晩そのばん宗助そうすけゆめには本多ほんだ植木鉢うゑきばち坂井さかゐのブランコもなかつた。かれは十時半頃じはんごろとこはひつて、萬象ばんしやうつかれたひとやういびきをかいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
植木鉢うゑきばち草花くさばな花束はなたば植木棚うゑきだな、そのしづかに流れるは、艶消つやけしきんの光をうつしつつ、入日いりひうんを悲んで、西へともなふセエヌかは、紫色の波長く恨をひいてこの流
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
棚の上には、こはれかゝった植木鉢うゑきばちや、古い朱塗りの手桶てをけや、そんながらくたが一杯でした。そして鳥箱先生のすぐうしろに、まっくらな小さな穴がありました。
鳥箱先生とフウねずみ (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ねられやしない大丈夫だいじやうぶよ!』つてあいちやんは、そばにあつたおほきな植木鉢うゑきばちなか彼等かれられました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
師匠ししやうのおとよ縁日えんにちものゝ植木鉢うゑきばちならべ、不動尊ふどうそん掛物かけものをかけたとこうしろにしてべつたりすわつたひざの上に三味線しやみせんをかゝへ、かしばちで時々前髪まへがみのあたりをかきながら、掛声かけごゑをかけてはくと
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
今夜よくやすんで、あしたはマリオ農学校、マリオ工学校、マリオ商学校、三つだけて歩いても大丈夫だと思って、気もちよく青い植木鉢うゑきばちや、アーティストの白い指の動くのや
毒蛾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
段々だん/\さむくなつたから、もうめたんでせう。えんした植木鉢うゑきばち澤山たくさんならんでるわ」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
糸杉いとすぎやこめつが植木鉢うゑきばちがぞろっとならび、親方はもちろん理髪アーティストで、外にもアーティストが六人もゐるんですからね、殊に技術の点になると、実に念入りなもんでした。
毒蛾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)