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梅暦
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うめごよみ
ふりがな文庫
“
梅暦
(
うめごよみ
)” の例文
大抵津藤さんは人の対話の内に潜んでいて形を現さない。それがめずらしく形を現したのは、
梅暦
(
うめごよみ
)
の
千藤
(
ちとう
)
である。千葉の藤兵衛である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
同時にまた、教科書の間に隠した『
梅暦
(
うめごよみ
)
』や
小三
(
こさん
)
金五郎
(
きんごろう
)
の叙景文をば
目
(
ま
)
の
当
(
あた
)
りに見る川筋の実景に対照させて喜んだ事も度々であった。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
中学時代の初期には「
椿説弓張月
(
ちんせつゆみはりづき
)
」や「
八犬伝
(
はっけんでん
)
」などを読んだ。
田舎
(
いなか
)
の
親戚
(
しんせき
)
へ泊まっている間に「
梅暦
(
うめごよみ
)
」をところどころ拾い読みした記憶がある。
読書の今昔
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
小倉庵
(
おぐらあん
)
長次の近くだった。
梅暦
(
うめごよみ
)
の
挿絵
(
さしえ
)
で見るような
萩
(
はぎ
)
の
籬
(
まがき
)
で一軒家、家賃も安いし、近所も気楽である。そこへ、越してからすぐ札を出したのが
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
類聚
(
るいじゅう
)
』に出でし句と覚ゆれど、予のはじめこれを見て
艶麗
(
えんれい
)
の感に堪へざりしは、
春水
(
しゅんすい
)
の『
梅暦
(
うめごよみ
)
』の中にありしなり。
俳句の初歩
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
店
(
みせ
)
は耶蘇教主義であるが、角谷は夜毎の
家庭
(
かてい
)
祈祷会
(
きとうかい
)
などに出るのを
厭
(
いや
)
がって居た。彼の本箱には、
梅暦
(
うめごよみ
)
や日本訳のマウパッサン
短篇集
(
たんぺんしゅう
)
が入って居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
……でも、その稽古、師匠のほうからそう口を切ってくれただけで、その日は一日師匠の家にいたけれど、部屋へ閉じ籠って夢中で「
梅暦
(
うめごよみ
)
」か何かに読み耽っているらしかった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
巽巳藝妓
(
たつみげいしや
)
の
侠
(
きやん
)
な名や、戲作者
爲永春水
(
ためながしゆんすゐ
)
述るところの「
梅暦
(
うめごよみ
)
」の色男丹治郎などは、つい先頃までの若者を羨ましがらせた
代物
(
しろもの
)
だ。その狹斜が生んだ、江戸末期的代表デカタンが丹治郎だ。
花火と大川端
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
長吉はふと近所の家の表札に
中郷竹町
(
なかのごうたけちょう
)
と書いた町の名を読んだ。そして
直様
(
すぐさま
)
、この
頃
(
ごろ
)
に愛読した
為永春水
(
ためながしゅんすい
)
の『
梅暦
(
うめごよみ
)
』を思出した。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自分が
梅暦
(
うめごよみ
)
の丹治郎のようであって、お蝶のような娘に慕われたら、愉快だろうというような心持が、始てこの頃
萌
(
きざ
)
した。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
作爲といへば
爲永春水
(
ためながしゆんすゐ
)
の
梅暦
(
うめごよみ
)
にも、小梅の茶屋で、逢曳する所があるね、そして約束の男の丹次郎がなか/\來ないのを、
米八
(
よねはち
)
が獨りじれながら待つてゐる。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はふと近所の家の
表札
(
へうさつ
)
に
中郷竹町
(
なかのがうたけちやう
)
と書いた
町
(
まち
)
の名を読んだ。そして
直様
(
すぐさま
)
、
此
(
こ
)
の
頃
(
ころ
)
に愛読した
為永春水
(
ためながしゆんすゐ
)
の「
梅暦
(
うめごよみ
)
」を
思出
(
おもひだ
)
した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一
柳亭種彦
(
りゅうていたねひこ
)
『
田舎源氏
(
いなかげんじ
)
』の稿を起せしは
文政
(
ぶんせい
)
の末なり。然ればその
齢
(
よわい
)
既に五十に達せり。
為永春水
(
ためながしゅんすい
)
が『
梅暦
(
うめごよみ
)
』を作りし時の齢を考ふるにまた相似たり。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
為永春水
(
ためながしゅんすい
)
の小説『
梅暦
(
うめごよみ
)
』の続篇たる『
辰巳
(
たつみ
)
の
園
(
その
)
』以下『
梅見船
(
うめみのふね
)
』に至る幾十冊の挿絵は国直の描く処にして余は春水の述作と
併
(
あわ
)
せて深くこの挿絵を愛す。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
同じ江戸風と申しても
薗八一中節
(
そのはちいっちゅうぶし
)
なぞやるには『
梅暦
(
うめごよみ
)
』の挿絵に見るものよりは少し古風に行きたく
春信
(
はるのぶ
)
の絵本にあるやうな趣ふさはしきやに存ぜられ候。江戸趣味は万事
天明
(
てんめい
)
ぶりありがたし/\
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
梅
常用漢字
小4
部首:⽊
10画
暦
常用漢字
中学
部首:⽇
14画
“梅”で始まる語句
梅雨
梅
梅干
梅花
梅林
梅子
梅蘭芳
梅雨時
梅幸
梅雨晴