東寺とうじ)” の例文
そして或る時などは——義貞自身、一万の精兵をひッさげて、敵中をけちらし、尊氏の本営、東寺とうじの門前までせまって、弓に矢をつがえ
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして若宮は髪を落し、法師の姿となって仁和寺にんなじ御室おむろの弟子になった。後に東寺とうじの一の長者安井宮の大僧正道尊といわれた人は、実にこの若宮であった。
八坂やさかの塔だの、東寺とうじの塔だの、知恩院ちおんゐんだの、金閣寺きんかくじだの銀閣寺ぎんかくじだのがきらきらと映ります。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
東寺とうじ卿公きょうのきみと云う修験者しゅげんじゃにおふだをもらって来てると、怪しい物も来ないようになったので、五十日ばかりして東寺に往って卿公に礼を云って酒を飲み、その帰りに女のことを思いだして
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ほとんどすべての大本山がここに集ります。浄土宗の知恩院ちおんいん百万遍ひゃくまんべん真言しんごん宗の東寺とうじ智積院ちしゃくいん、真宗の両本願寺ほんがんじ、禅宗の南禅寺なんぜんじ妙心寺みょうしんじ大徳寺だいとくじ、時宗の歓喜光寺かんきこうじ、天台宗の妙法院みょうほういん延暦寺えんりゃくじ
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
日次ひなみ記事に依れば、東寺とうじなどで花摘といったのはこの日花御堂を結構して、小釈迦こしゃかの銅像を安置することで、この日また比叡山戒壇堂かいだんどう仏生会ぶっしょうえに、女人等の常は登拝を許されざる者も参詣し
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
御供養みくやう東寺とうじ舞楽ぶがくの日を見せて桜ふくなり京の山かぜ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
「冬が来れば、寒かろうとて、わしらばかりでなく、東寺とうじや、八坂やさかの床下にむ子らにまで、古いお着物は恵んで下さるしの」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして田の神への信仰から発生した稲荷信仰が、後になって京都の東寺とうじと結んで勢力を大きくしたこともあり、信仰を悪用した人々により、いわゆる狐つきという迷信をも生むに至ったのである。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
加茂へも、東寺とうじへも、それはあったが、しげしげのお出ましは、おおむね二条高倉の新地で、古典には、こうみえる。
だから、公綱の隊が、東寺とうじを過ぎて四塚よづかにかかる頃は、はやくも四百人をこえていたし、なお行く行くの途中でも
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雑賀隼人の手勢は、五月十一日のあけがた、法勝寺ほっしょうじ円観上人えんかんしょうにんを引ッくくって、獄へ持ち込み、南条左衛門は、東寺とうじを襲って、文観僧正もんかんそうじょうを、捕縛して来た。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つづいて、尊氏も、そのきょを、東寺とうじから移して、三条坊門ノ御池おいけにおき、こう師直もろなおは一条今出川に住みついた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東寺とうじの長者、文観もんかん上人の侍者じしゃです。それが浄土寺と東寺とうじのあいだを、ひそかに往来いたしたもようなので」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、いくばくもなく、南都に遊び洛内にじゅうし、いつか東寺とうじ長者ちょうじゃ、醍醐の座主ざすにまで補せられて、四曼三密しまんさんみつ棟梁とうりょうと、人もゆるし、みずからもすこの文観もんかん
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西の宮から先、鹵簿ろぼは、正成以下の畿内きないの兵数千が露ばらいして進み、六月五日の夕、東寺とうじに着いた。
寄手は東寺とうじを本陣とするわずか四、五千の赤松勢であったのだが、これがすばらしく強いのだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日、東寺とうじの前でのこと。先帝お見送りの大群集が押しあっているちまたであった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東寺とうじからすみたいに、ガアガア反対する奴もあるが、そいつら自身は、どうだ!」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六波羅より、七条を西へ、大宮を南に折れて、東寺とうじの門前に、車をおさへらる。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「前の月には、その赤松勢のほうが勝ち色で、一時は桂川、東寺とうじの線をつき破り、大宮、猪隈いのくま、堀川、油小路いちめん、火の海だったそうですよ。都のすがたもまるで変っているらしい」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしておそらくこれは東寺とうじから九条口へかかるだろう。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東寺とうじは」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)