旅人りよじん)” の例文
もよひてさぶ馬士まごの道々語りて云ふ此宿も今は旅人りよじんを當にもなさず先づ養蠶一方なり田を作るも割に合はぬゆゑ皆な斯樣かやうに潰して畑となし豆を作るか桑を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
左仲が煙管きせるもと差出さしいだすにぞ左仲は愕然ぎよつとなし思はずふるへ出せし體を見るより彼の者は莞爾につこと笑ひ左仲が側へ同じくこし打掛うちかけ旅人りよじんは何等のようにてかく夜道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それを見た自分自身を、詩人にし、旅人りよじんにし、若き愁ひある人にした上でなければ、其感じが当時の詩の調子に合はず、又自分でも満足することが出来なかつた。
弓町より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「エスキモー」犬が雪中橇車そりを牽いて数日の道を行つても少しも疲労しない事や、西比利亜犬が旅人りよじんを護衛して狼や其他の猛獣を追散らす勇気は実に素晴らしいもんだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
こゝろ帰家かへりたきにありて風雅ふうがをうしなひ、古跡こせきをもむなしくよぎり、たゞ平々なみ/\たる旅人りよじんとなりて、きゝおよびたる文雅ぶんがの人をも剌問たづねざりしは今に遺憾ゐかんなり。嗟乎あゝとしけんせしをいかんせん。
そんな物があるやうに言つたのは、軽卒な旅人りよじんみだりに空想をもてあそんで、無中に有を生じたのだらう。丁度ゴムで拵へた枕をふくらますやうに、僕は今この鱷をふくらます事が出来るのだ。
「知りませんね。旅人りよじんかなんかでせう。」
もつて功徳くどくちやうと成べきと智化ちけの上人へ桂昌院樣けいしやうゐんさま一位樣御尋おんたづね遊ばされしに僧侶そうりよこたへて申上げるはおよそ君たる人の御功徳くどくにははしなき所へ橋をかけ旅人りよじんのわづらひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こゝろ帰家かへりたきにありて風雅ふうがをうしなひ、古跡こせきをもむなしくよぎり、たゞ平々なみ/\たる旅人りよじんとなりて、きゝおよびたる文雅ぶんがの人をも剌問たづねざりしは今に遺憾ゐかんなり。嗟乎あゝとしけんせしをいかんせん。
否、吾人はこの旨味ある新食品の愈々盛んに我国に輸入せられん事を希望してまざるものなり。古来英国の貴族及び旅人りよじん埃及エジプトに於て鱷を捕へて食する事我国人の熊を捕へて食ふと異る事なし。
雌雄めをたき鯉岩烏帽子岩ゑぼしいはなどあり飯田とかへ通路ありとて駄荷多くつどひて賑し左れど旅人りよじんなどは一向になし晝の宿に西洋人二人通辯ボーイ等五六人居たるのみ此峠は木曾の御坂みさかと歌にも詠む所にて左のみ嶮しからず景色穩やかにてよしいにしへ西京よりあづまへ向ひて來んには此の峠こそ木曾にるは
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
おびやか路用ろよううばひて己が酒色のれうにぞつかすてけり初の程は何者の仕業しわざとも知る者なかりしが遂に誰云ふとなく旅人りよじんはぐの惡黨は此頃常樂院の食客大膳と云ふ者の仕業なりとを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)