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かかえぬし
ふりがな文庫
“
抱主
(
かかえぬし
)” の例文
そこへ
抱主
(
かかえぬし
)
が
因業
(
いんごう
)
で、最近持上った例の松村という物持の身受話が段々うるさくなり、うんというか、借金を倍にして
外
(
ほか
)
へ住み
換
(
かえ
)
でもするか
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わたくしは其様子と其顔立とで、
直様
(
すぐさま
)
お雪の
抱主
(
かかえぬし
)
だろうと推察したので、向から言うのを待たず
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
なんて
抱主
(
かかえぬし
)
が探しに来てもジイッと
塵箱
(
ごみばこ
)
の蔭なんかに隠れてしまうからナカナカ見付からない。頃合いを見計らって、そいつを拾ってまわると一日に五匹や六匹は間違いない。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と引立てるようにされて、染次は
悄々
(
しおしお
)
と次に出た。……組合の
気脉
(
きみゃく
)
が
通
(
かよ
)
って、待合の女房も、
抱主
(
かかえぬし
)
が
一張羅
(
いっちょうら
)
を着飾らせた、損を知って、そんなに手荒にするのであろう、ああ。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
披露目
(
ひろめ
)
をするといってもまさか天婦羅を配って歩くわけには行かず、
祝儀
(
しゅうぎ
)
、
衣裳
(
いしょう
)
、心付けなど大変な物入りで、のみこんで
抱主
(
かかえぬし
)
が出してくれるのはいいが、それは前借になるから
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
抱主
(
かかえぬし
)
の台所口へ、見すぼらしい親身のものの姿が見えると、つんと
起
(
た
)
って、
行
(
ゆ
)
きもしないお稽古だの、寝坊が朝湯へ行き兼ねないのに、大道さなか、(お爺さん。)——ええ
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかほど口惜しくっても指を
啣
(
くわ
)
えてだまって見ていようが、
抱主
(
かかえぬし
)
の云うがままになって、前借も踏まず、長火鉢の前に坐って姉さんぶろうと云うからには、もうこのままにはして置けない。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
推定被害者長吉の
身許
(
みもと
)
については、丁度
抱主
(
かかえぬし
)
中村家の主婦が湖畔亭へかけつけていましたので、彼女から詳しく知ることが出来ました。その時彼女は、恐しく多弁に色々な事柄を述べ立てました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
七日
(
なぬか
)
目の朝、ようようのことで
抱主
(
かかえぬし
)
から半日の
暇
(
いとま
)
を許され、再び母親を小石川の
荒屋
(
あばらや
)
に見舞うと、三日が間、夜も昼も差込み通し、
鳩尾
(
みずおち
)
の処へぐッと上げた
握掌
(
にぎりこぶし
)
ほどのものが
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかほど
抱主
(
かかえぬし
)
に
歩割
(
ぶわり
)
を取られても、自分一人では使い切れないくらいで、三年の年季の明ける頃には鏡台や箪笥も持っていたし、郵便局の貯金も万以上になっていたが、帰るべき家がないので
吾妻橋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それに、浅草へ
出勤
(
で
)
て、お染はまだ間もなかった頃で、どこにも
馴染
(
なじみ
)
は無いらしく、連立って
行
(
ゆ
)
く先を、内証で、
抱主
(
かかえぬし
)
の
蔦家
(
つたや
)
の女房とひそひそと
囁
(
ささや
)
いて、その指図に任かせた始末。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いやそれ処か、親元身受にして前借金を片付ける時、芸者時分の着物は大方
抱主
(
かかえぬし
)
に引渡してしまった処から、この冬には早速外出の衣裳にも困るわけである。お千代はすっかり
鬱込
(
ふさぎこ
)
んでしまった。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
抱主
(
かかえぬし
)
の家へは自分の
了簡
(
りょうけん
)
でも遠慮をするだけ、可愛い孫の顔は、長者星ほど宵から目先にちらつくので、同じ
年齢
(
としごろ
)
の、同じ
風俗
(
ふう
)
の若い
妓
(
こ
)
でも、同じ土地で見たさの余り、ふとこの
夜
(
よ
)
に限って
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家で着ている
寝衣
(
ねまき
)
なんぞは
襟垢
(
えりあか
)
が光るほどになっても一向平気だし、髪も至って無性で、
抱主
(
かかえぬし
)
から
煩
(
うるさ
)
く云われて初めて三日目か四日目位に結う位、銭湯へもお座敷のいそがしい時なぞは幾日も入らず
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
吹込む
呼吸
(
いき
)
が強くなるためだといって
抱主
(
かかえぬし
)
が、君、朝御飯も食べさせない、
耐
(
たま
)
るもんか、寒い処を、笛を習ってる
中
(
うち
)
に
呼吸
(
いき
)
が続かぬから気絶するのが、毎朝のようだ、水を
吹
(
ふき
)
かけて生返らして
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
抱主
(
かかえぬし
)
との話がつくまで毎日逢っていようと言うんです。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
当夜植木
店
(
だな
)
のお薬師様の縁日に出た
序
(
ついで
)
に、孫が好きだ、と草餅の風呂敷包を首に
背負
(
しょ
)
って、病中ながらかねて
抱主
(
かかえぬし
)
のお孝が好いた、
雛芥子
(
ひなげし
)
の早咲、念入に土鉢ながら育てたのを丁寧に両手に抱いて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
持病になって、三日置ぐらいには
苦悶
(
くるしみもだ
)
える、最後にはあまり苦痛が
烈
(
はげ
)
しいので、くいしばっても悲鳴が
洩
(
も
)
れて、畳を
掻
(
かい
)
むしって転げ廻るのを、
可煩
(
うるさ
)
いと、
抱主
(
かかえぬし
)
が手足を縛って、口に
手拭
(
てぬぐい
)
を
捻込
(
ねじこ
)
んだ上
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
抱
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
主
常用漢字
小3
部首:⼂
5画
“抱”で始まる語句
抱
抱擁
抱一
抱妓
抱負
抱合
抱込
抱茗荷
抱懐
抱起