手輩てあい)” の例文
のみならず中には、多少易経えききょうの端を読みかじッている手輩てあいなどもあって、素見ひやかしのうちでも売卜者ばいぼくしゃたちには苦手にがてな部類の者と見たので
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『それが近頃では、三味線が鳴ったり……大きな声では申されませぬが、町奴とかいう手輩てあい出入でいりして博奕ばくちをなさるお屋敷もあるとか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもまた、杜選とせん、朱貴、宋万といった手輩てあいも抱きとめられてはいるし、辺りの空気もただならないので、みずから行動には出なかったが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『いや、飼ってもみぬ手輩てあいは、岡焼き半分に、鶉狂うずらきょうだの、流行り病の一つだのと、ろくな陰口は申しませんが、やってみれば、もうそれは……』
美しい日本の歴史 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへかもも鴨、断然そんな手輩てあいとは、金の切れが違う西門慶という大鴨がかかったのだから、婆としては千ざいの一ぐうだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ惜しいかなこの手輩てあいは、雪の日、客に梅をいて、時節を待ちながらも時節を度外している雅懐がかいはないのである。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御念までもないこと、お側衆だの表役人だの申す手輩てあいに、いちいち付かれていては窮屈至極、空家を見つけて入ったら一切おかまいない事に願いたい。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく、そんな手輩てあいが、この出屋敷にも、百人以上はいると見えたから、六波羅の捕吏といえども、たやすく
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あとの手輩てあいはもう蜘蛛くもの子だった。——柴進は、この瞬間の出来事に、ただもう茫然のていだったが、やがて。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『いつまでも寝ないで、困った大人共でござる。伝右どの、その手輩てあいに、あしたは糺明きゅうめいしておやりなされ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
駄賃をせしめた仲間なかま手輩てあいは、元よりそんな者を探すつもりは毛頭ないので、皆、仕事を怠けて、博奕ばくちに耽っているが、自分だけは、ご事情を聞いてお気の毒だと思い
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なあに、お気に止めるには当りません。毎度見える、貧相な武芸者です。柳生を打込めば一躍、柳生に代って、天下無双と法螺ほらでもふこうという野心家の手輩てあいでしょう」
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「困った大人どもでござる。伝右殿、あしたは、その手輩てあいに、きゅうをすえておやりなされ」
べんがら炬燵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやはや、つまらぬ客呼びをした。いずれも鎌倉直参じきさんとか、国持ち大名だとかいっているが、あんな手輩てあいが、それぞれ何千騎もようして、何か考えているのだから、すさまじい」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弥次馬はぎょっとしたが、場所が日本橋となると野次馬も一筋縄の手輩てあいでないと見えて
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
承久ノ乱では、宮方へついたがため、家名を失い、以後はこの通りな半百姓だ——などと、いずれも、今の我が身には誇れもせず、ただ、過去ばかりを回顧しあっている手輩てあいだった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奇矯人ききょうじんの大食会が流行の因をなして、この手輩てあいの仲間にも、この頃の賭食かけぐいは一つの流行はやりものになっているので、その反古に書いてある、筆頭連中の名は偉なる英雄のごとく見えて
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『若い手輩てあいの——例えば不破ふわ数右衛門、武林唯七などの躍起組やっきぐみが——近頃、大石に対して疎遠そえんになりだしたのは、あの普請場を見てからだ、ほかにも、大石の肚を、疑っている者が多い』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ウム、方々ほうぼう落武者おちむしゃ浪人ろうにんで、めしえないさむらいなどは、よく名のある者のすがたと偽名ぎめいをつかって、無智むち在所ざいしょの者をたぶらかして歩く手輩てあいがずいぶんある。おおかたそんな者たちだろう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古典には、この賊徒なるものをたんに「——近江、伊賀、鈴鹿すずか、この界隈かいわいまでの強盗山賊あぶれども」としかその質を言っていないが、はたしてそんな有象無象うぞうむぞう手輩てあいばかりであったろうか。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「北町奉行の手輩てあいが、さかんに、いっているんだから、嘘ではあるまい」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梅軒と共にゆうべ無駄骨を折った手輩てあいなのである。山歩きには馴れきっているとみえ、ししのように真っ直に傾斜を駈け下りて来て、お通の姿に、そこで初めて気づいたらしく眼を見あわせた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その手輩てあいに睨まれて、伊織はあわてて帰って来た。武蔵は、手枕のひじへ薄く眼をつぶって眠っている。そのすそに西陽もだいぶかげって、足の先と、ふすまの端の残り陽に、大きな蠅が真っ黒にたかっていた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こっちの手輩てあい
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)