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慾得
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よくとく
ふりがな文庫
“
慾得
(
よくとく
)” の例文
おれはただ、店子といえば子も同然、大家といえば親も同然——という心もちから、
慾得
(
よくとく
)
離れてめんどうをみただけのことなのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
手術
(
てわざ
)
が持ち前で好き
上手
(
じょうず
)
であるので、道楽半分、
数奇
(
すき
)
半分、
慾得
(
よくとく
)
ずくでなく、何か自分のこしらえたものをその時々の時候に応じ、場所に
適
(
は
)
めて
幕末維新懐古談:41 蘆の葉のおもちゃのはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
慾得
(
よくとく
)
のためにのみ一緒になっているとしか思えない小野田に対する
我儘
(
わがまま
)
な反抗心が、彼女の
頭脳
(
あたま
)
をそうも
偏傾
(
へんけい
)
せしめた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
世間を驚かしてやろうという道楽五分に
慾得
(
よくとく
)
五分の算盤玉を
弾
(
はじ
)
き込んで一と山当てるツモリの商売気が十分あった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「そいつアいい考えだ。ではさっそく、浜松へ乗りこもう! だがなんでも
慾得
(
よくとく
)
ずくだ、
無条件
(
むじょうけん
)
じゃいけねえぜ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
多い小僧の中には面白半分にそこへ行く奴もある。またうまい物をくれるとか
玩具
(
おもちゃ
)
をくれるとかお金をくれるからというて
慾得
(
よくとく
)
から好んで行く小僧もある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
時々
(
とき/″\
)
遠
(
とほ
)
くから
不意
(
ふい
)
に
現
(
あらは
)
れる
訴
(
うつたへ
)
も、
苦
(
くる
)
しみとか
恐
(
おそ
)
れとかいふ
殘酷
(
ざんこく
)
の
名
(
な
)
を
付
(
つ
)
けるには、あまり
微
(
かす
)
かに、あまり
薄
(
うす
)
く、あまりに
肉體
(
にくたい
)
と
慾得
(
よくとく
)
を
離
(
はな
)
れ
過
(
す
)
ぎる
樣
(
やう
)
になつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
父親
(
てておや
)
は海賊でも、母親は善人で御座いましてね、それにあの通り娘は出来が好いので御座いますから、これは私の
慾得
(
よくとく
)
を離れて、どうにか纏めて遣りたいもので御座いますが……
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかし
奧
(
おく
)
も
美人
(
びじん
)
だよ。あの
烈
(
はげ
)
しく
妬
(
や
)
くと
云
(
い
)
ふものが、
恐
(
おそ
)
らく
己
(
おれ
)
を
深
(
ふか
)
く
思
(
おも
)
へばこそだからな。
賣色
(
ばいしよく
)
の
輩
(
はい
)
と
違
(
ちが
)
ふ、
慾得
(
よくとく
)
づくや
洒落
(
しやれ
)
に
其
(
そ
)
の
胸倉
(
むなぐら
)
を
取
(
と
)
れるわけのものではないのだ。うふゝ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
慾得
(
よくとく
)
づくでしたんぢや御座いません、皆な坊ちやんの爲を思つて——
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして酒をのませ
粥
(
かゆ
)
など食べさせてみると、この老人のはなしぶりや態度には、どこか
飄乎
(
ひょうこ
)
たる風があって、わざとらしくなく、また
慾得
(
よくとく
)
もなければ
愚痴
(
ぐち
)
もなく
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その生命の裏にも表にも、
慾得
(
よくとく
)
はなかった、利害はなかった、自己を圧迫する道徳はなかった。雲の様な自由と、水の如き自然とがあった。そうして
凡
(
すべ
)
てが
幸
(
ブリス
)
であった。だから凡てが美しかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
慾
漢検準1級
部首:⼼
15画
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
“慾”で始まる語句
慾
慾張
慾目
慾望
慾心
慾念
慾情
慾気
慾深爺
慾張婆