悋氣りんき)” の例文
新字:悋気
きに病氣びやうきとばかりおもひぬれば、よしらうかぎりもなくいたましくて、醫者いしやにかゝれの、くすりめのと悋氣りんきわすれて此事このことこゝろつくしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何をまあ、あなたといふ人は、子供にまで悋氣りんきをやいて。いゝから幾らでもこんな亂暴をなさい。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
後家のお光にまよひし故口走りたることならんと立たり居たり狂氣きやうきの如く悋氣りんきまじりにさわぐにぞ忠兵衞は更にいきたる心地もなく成事なることやと夜の目もあはさずはや翌日にも成りければ止事やむこと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「そして、もう、悋氣りんき喧嘩をやり出した」と、鶴次郎が云ひ添へる。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
なかひろうなれば次第しだい御器量ごきりようましたまふ、今宵こよひ小梅こうめが三あはせて勸進帳くわんじんちやうの一くさり、悋氣りんきではけれどれほどの御修業ごしゆげうつみしもらで、何時いつむかしの貴郎あなたとおもひ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よしや良人が藝者狂ひなさらうとも、圍い者して御置きなさらうとも其樣な事に悋氣りんきする私でもなく、侍婢をんなどもから其樣な噂も聞えまするけれど彼れほど働きのある御方なり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よしや良人おつと藝者狂げいしやぐるひなさらうとも、かこものして御置おおきなさらうとも其樣そんこと悋氣りんきするわたしでもなく、侍婢をんなどもから其樣そんうわさきこえまするけれどれほどはたらきのある御方おかたなり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
旦那だんなさま愚痴ぐち僻見ひがみ跡先あとさきなきことなるを思召おぼしめし悋氣りんきよりぞと可笑をかしくも有ける。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)