徹夜てつや)” の例文
随分ずいぶん疲れるぜ。僕あ、おやじの死ぬとき一週間ばかり徹夜てつやして看病した事があるが、あとでぼんやりして、大いに弱った事がある」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『そんな事をいわないで、今日——今夜だけ、待っておくれ。——今夜こそ、徹夜てつやをしても、きっと描き上げてみせるから』
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其頃そのころふうをなしておこなはれた試驗しけん間際まぎは徹夜てつや勉強べんきやう終夜しうやとなへて、つた同志どうしあかしに演習おさらひをする、なまけものの節季仕事せつきしごとふのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
壮太郎氏と壮一君は、洋館の二階の書斎に籠城ろうじょうすることになりました。書斎のテーブルには、サンドイッチとぶどう酒を用意させて、徹夜てつやのかくごです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
母親が徹夜てつやして縫ってくれた木綿もめん三紋みつもんの羽織に新調のメリンスの兵児帯へこおび、車夫は色のあせた毛布けっとうはかまの上にかけて、梶棒かじぼうを上げた。なんとなく胸がおどった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ここ二三日、ほとんど徹夜てつやなことに思いやりをこめて、実枝はクニ子のそばへ並んで横になった。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
れよりも、徹夜てつや温習おさらひに、なによりか書入かきいれな夜半やはん茶漬ちやづけわすれられぬ、大福だいふくめいた餡餅あんもあぶつたなごりの、餅網もちあみが、わびしく破蓮やればすかたちたゝみんだ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おれは性急せっかちな性分だから、熱心になると徹夜てつやでもして仕事をするが、その代り何によらず長持ちのした試しがない。いかに天誅党でもきる事に変りはない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
といいあいながら、一応、本丸にあつまり、さらに、外曲輪そとぐるわとの間に、徹夜てつやで、防禦線ぼうぎょせんを築いた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だつて、きみうちはおやしきだから、ひろ座敷ざしきふたつもみツつもとほらないと、おつかさんやなに部屋へやけないんだもの。あひだきみとこで、徹夜てつやをしたときは、ぼくは、そりや、さびしかつた……
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)