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徳義上
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とくぎじやう
斯う
解釋した
時、
御米は
恐ろしい
罪を
犯した
惡人と
己を
見傚さない
譯に
行かなかつた。さうして
思はざる
徳義上の
苛責を
人知れず
受けた。
貴方を
初め、
代診、
會計、
其れから、
總て
此の
貴方の
病院に
居る
奴等は、
實に
怪しからん、
徳義上に
於ては
我々共より
遙に
劣等だ、
何の
爲に
我々計りが
此に
入れられて
居つて
世間は
容赦なく
彼等に
徳義上の
罪を
脊負した。
然し
彼等自身は
徳義上の
良心に
責められる
前に、
一旦茫然として、
彼等の
頭が
確であるかを
疑つた。
徳義上だとか、
論理だとか、
那樣事は
何も
有りません。
唯場合です。
即ち
此處に
入れられた
者は
入つてゐるのであるし、
入れられん
者は
自由に
出歩いてゐる、
其れ
丈けの
事です。
勳章だとか、
養老金だとか
云ふものは、
徳義上の
資格や、
才能などに
報酬されるのではなく、一
般に
勤務其物に
對して
報酬されるので
有る。
然らば
何で
自分計り
報酬をされぬので
有らう。