トップ
>
御上
>
おかみ
ふりがな文庫
“
御上
(
おかみ
)” の例文
「返礼には伊豆ほとほと
持余
(
もてあま
)
して
居
(
を
)
りまする。恐れながらこれは
御上
(
おかみ
)
へお願ひ申し上げますより
外
(
ほか
)
に致し方も御座りますまい。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ところが人間万事
塞翁
(
さいおう
)
の馬、
七転
(
ななころ
)
び
八起
(
やお
)
き、弱り目に
祟
(
たた
)
り目で、ついこの秘密が露見に及んでついに
御上
(
おかみ
)
の
御法度
(
ごはっと
)
を破ったと云うところで
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「シテ、その小笠原金三郎とやら申す浪人の所持致す脇差に就て、
御上
(
おかみ
)
には御心覚えあらせられるかあらせられぬか。一応御伺い致されたか」
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
堺
(
さかい
)
の
街
(
まち
)
にて
亡
(
な
)
き父ほど天子様を思ひ、
御上
(
おかみ
)
の御用に自分を忘れし商家のあるじはなかりしに候。弟が
宅
(
うち
)
へは手紙ださぬ心づよさにも、亡き父のおもかげ思はれ候。
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それらの諸先生に比べれば、従来予が官立学校教師として小説家を兼業する事が出来たのは、
確
(
たしか
)
に比類
稀
(
まれ
)
なる
御上
(
おかみ
)
の御待遇として、
難有
(
ありがた
)
く感銘すべきものであらう。
入社の辞
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
「
御落胤
(
ごらくいん
)
と称して、確かな証拠品も所持致す
由
(
よし
)
、今、
御上
(
おかみ
)
へ、
御覚
(
おおぼえ
)
が御座りますか、と聞くと——」
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
遂に、種ヶ島の短銃を担ぎだすもの、それから
御上
(
おかみ
)
の特別のおゆるしを得て、鉄砲組で攻めもした。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
御上
(
おかみ
)
屋敷よりも御下屋敷の方が御奉公もずっと気楽でございます、万事が窮屈でありません。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
細工や片付け事は生れながら不器用で、
御上
(
おかみ
)
の御用のない日は、小原庄助さん見たいに朝湯に入つて、酒の代りに番茶を呑んで、氣の減るほど煙草ばかり吸つてゐるのでした。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
上野さんの頭の中には、
御上
(
おかみ
)
のさる御一人が、まぐろを好ませ
給
(
たま
)
うので、このような最上のものがあるとするなら、献上してみたいという考えがあったのではないかと思ったからである。
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
一簡
(
いっかん
)
奉啓上候
(
けいじょうそうろう
)
余寒
(
よかん
)
未難去候得共
(
いまださりがたくそうらえども
)
益々御壮健
恐悦至極
(
きょうえつしごく
)
に
奉存候
(
ぞんじそうろう
)
然者
(
しかれば
)
当屋敷
御上
(
おかみ
)
始め重役の銘々少しも
異状
(
かわり
)
無之
(
これなく
)
御安意可被下候
(
ごあんいくださるべくそうろう
)
就
(
つい
)
ては昨年九月只今思い
出
(
だし
)
候ても誠に御気の毒に心得候御尊父を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
御上
(
おかみ
)
の沙汰としなれば、大抵の事は泣きの涙でも黙って通す。然し彼等が斯くするは、必しも御上に
随喜
(
ずいき
)
の結果ではない。彼等が政府の命令に従うのは、彼等が強盗に金を出す様なものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「当時
御上
(
おかみ
)
に
者
(
は
)
御一体御強健に
被為在候而
(
あらせられそろて
)
、且蘭科御療治御薬差上候事故、漢科之者御供不仕候共、御用之
御間
(
おんま
)
不欠儀
(
かけざるぎ
)
と奉存候得共、誠に万々一之御備に漢科之者御供被仰付候儀と奉存候。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
昔は
御上
(
おかみ
)
の御威光なら何でも出来た時代です。その次には御上の御威光でも出来ないものが出来てくる時代です。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それらの諸先生に比べれば、従来予が官立学校教師として小説家を兼業する事が出来たのは、確に
比類稀
(
ひるいまれ
)
なる
御上
(
おかみ
)
の
御待遇
(
ごたいぐう
)
として、難有く感銘すべきものであろう。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
御上
(
おかみ
)
の都合にて、
如何
(
いか
)
ようにも左右されると、庶民に思い込ませるよりは、越前も失策した、然し、よく調べはしたと、庶民に思われる方が、司政者としては、
政
(
まつりごと
)
に忠なるものと、心得まする
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
御上
(
おかみ
)
向きの体裁を考えて小田原評定に時を過していたのです。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
家
(
うち
)
の人達は無事ですか、どこへ行きましたかと聞いたら、
薪屋
(
まきや
)
の
御上
(
おかみ
)
さんが、昨晩の十二時頃に
崖
(
がけ
)
が
崩
(
くず
)
れましたが、幸いにどなたも
御怪我
(
おけが
)
はございません。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御上
(
おかみ
)
向の體裁を考へて小田原評定に時を過して居たのです。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかに家老の勢でもこればかりはどうもならん。ところがこのせがれが幼少の頃から殿様の御相手をして成長したもので、非常に
御上
(
おかみ
)
の御気に入りでの、あなた。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
新聞が商売である
如
(
ごと
)
く大学も商売である。新聞が
下卑
(
げび
)
た商売であれば大学も下卑た商売である。
只
(
ただ
)
個人として営業しているのと、
御上
(
おかみ
)
で御営業になるのとの差
丈
(
だ
)
けである。
入社の辞
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
通例のものならこの様子でたいていはわかるはずだが、この主人は当世の人間に似合わず、むやみに役人や警察をありがたがる癖がある。
御上
(
おかみ
)
の御威光となると非常に恐しいものと心得ている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“御上(お上)”の解説
お上・御上(おかみ)とは、貴人や主君に対する尊称である。転じて、公儀権力を示す。戦国時代にもお上というものがあった。
なお、「おうえ」と読んだ場合は、主婦あるいは座敷・居間を意味する。
(出典:Wikipedia)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“御上”で始まる語句
御上洛
御上京
御上手
御上書
御上人
御上使
御上地
御上坂
御上木
御上様