幾許いくつ)” の例文
見たが、何うもいゝ器量だこと、年は幾許いくつ、なに十九だとえ、オヤそう、焼け出されてそれで、それはマアお気の毒な、旦那これは何処の娘です
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くは何者ぞと問へば此家の娘なりといふ容貌さまかたちも温泉にあらひて清げならん年は幾許いくつぞ。
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
それ其筈そのはづ実家さと生計向くらしむきゆたかに、家柄いへがら相当さうたうたかく、今年ことし五十幾許いくつかのちゝ去年きよねんまで農商務省のうしやうむしやう官吏くわんりつとめ、嫡子ちやくし海軍かいぐん大尉たいゐで、いま朝日艦あさひかん乗組のりくんでり、光子みつこたつ一人ひとり其妹そのいまうととして
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
おのれが手に塗付ぬりつけ笈笠おひがさへ手の跡を幾許いくつとなくなすり付又餞別にもらひし襦袢じゆばん風呂敷ふろしきへも血を塗てたる衣服いふくの所々を切裂きりさきこれへも血を夥多したゝか塗付ぬりつけたれが見ても盜賊たうぞくに切殺れたるていこしらへ扨犬の死骸しがいおもり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見兼みかねたりけん客人には餘程草臥くたびれしと見えたり遠慮ゑんりよなく勝手かつてに休み給へ今に家内の者共が大勢おほぜい歸り來るが態々わざ/\おき挨拶あいさつには及ばず明朝までゆるりとねられよ夜具やぐ押入おしいれ澤山たくさんありどれでも勝手に着玉へまくら鴨居かもゐの上に幾許いくつもありいざ/\と進めながら奧座敷おくざしき差支さしつかへ有れば是へはみだりに這入はいり給ふな此儀は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)