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幾箇
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いくつ
ふりがな文庫
“
幾箇
(
いくつ
)” の例文
S——町の
垠
(
はずれ
)
を流れている川を
溯
(
さかのぼ
)
って、重なり合った
幾箇
(
いくつ
)
かの
山裾
(
やますそ
)
を
辿
(
たど
)
って行くと、
直
(
じき
)
にその温泉場の白壁や
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
が目についた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
されど旅客の來りて
憇
(
いこ
)
ふものもなければか、
店頭
(
みせさき
)
には白き繭の籠を
幾箇
(
いくつ
)
となく並べられ、客を待てる
準備
(
ようい
)
は更に見えず。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「下町には居るそうだが、この辺へ鈴屋が来るのは珍しいね。どんな品があるか、みんな見せておくれ、気に入りさえすれば、
幾箇
(
いくつ
)
でも買って上げるから」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
丁度本堂仏殿の在りさうな位置のところに礎石が
幾箇
(
いくつ
)
ともなく見えて、親切な雨が降る度に訪問するのであらう今も其訪問に接して感謝の嬉し涙を溢らせてゐるやうに
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この時、あなたの山の方から
幾箇
(
いくつ
)
の
松明
(
たいまつ
)
が狐火のように乱れて見えた。巡査の一隊は尋ね
飽
(
あぐ
)
んで、今や山を降って来たのであろう。
斯
(
か
)
くと見るより
此方
(
こなた
)
の人々は口々に叫んだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
そして
幾箇
(
いくつ
)
の橋を渡ツて幾度道を回ツたか知らぬが、ふいに、石か何かに
躓
(
つまづ
)
いて、よろ/\として、
危
(
あぶな
)
く
轉
(
ころ
)
びさうになるのを、
辛而
(
やつと
)
踏止
(
ふみとま
)
ツたが、それですツかり
眼
(
め
)
が覺めて了ツた。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
唇の厚い久さんは、やおら
其方
(
そち
)
を向いて「炬火かね、炬火は
幾箇
(
いくつ
)
拵えるだね?」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蒲「それでは
幾箇
(
いくつ
)
で来るのだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
峠の
幾箇
(
いくつ
)
もある寂しい山道を、お島は独りでてくてく歩いて行った。どこへ行っても人家があった。休み茶屋や居酒屋もあった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「下町には居るさうだが、この邊へ鈴屋が來るのは珍らしいね。どんな品があるか、皆な見せておくれ、氣に入りさへすれば、
幾箇
(
いくつ
)
でも買つて上げるから」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
丁度
(
ちょうど
)
本堂仏殿のありそうな位置のところに
礎石
(
そせき
)
が
幾箇
(
いくつ
)
ともなく見えて、親切な雨が降る
度
(
たび
)
に訪問するのであろう今もその訪問に接して感謝の
嬉
(
うれ
)
し涙を
溢
(
あふ
)
らせているように
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「塩山へかね」と
背負籠
(
しよひかご
)
を
傍
(
かたはら
)
の石の上に下して、腰を伸しながら、「塩山へは此処からまだ二里と言ひやすだ。あの向ふの
大
(
でか
)
い山の下に
小
(
こまか
)
い山が
幾箇
(
いくつ
)
となく御座らつせう。その
山中
(
やまんなか
)
だアに……」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「
私
(
あっし
)
ゃ子供の時分から、こんな事が好きだったんですから、この外にまだ
幾箇
(
いくつ
)
も考えてるんですが、その中には一つ二つ成功するのが
急度
(
きっと
)
ありますよ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
昼は賃仕事に肩の張るを休むる間なく、夜は
宿中
(
しゅくじゅう
)
の
旅籠屋
(
はたごや
)
廻
(
まわ
)
りて、元は
穢多
(
えた
)
かも知れぬ
客達
(
きゃくだち
)
にまで
嬲
(
なぶ
)
られながらの
花漬売
(
はなづけうり
)
、
帰途
(
かえり
)
は一日の苦労の
塊
(
かたま
)
り銅貨
幾箇
(
いくつ
)
を酒に
易
(
か
)
えて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
庇
(
ひさし
)
傾
(
かたぶ
)
きたる
大
(
だい
)
なる家屋の
幾箇
(
いくつ
)
となく其道を挾みて立てる、旅亭の古看板の幾年月の
塵埃
(
ちりほこり
)
に黒みて
纔
(
わづ
)
かに軒に認めらるゝ、
傍
(
かたはら
)
に
際立
(
きはだ
)
ちて白く
夏繭
(
なつまゆ
)
の籠の日に光れる、驛のところどころ家屋
途絶
(
とだ
)
えて
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そこには広い宴会席が二階にあって、下は漫々とした水のまわりに、様式に変化をもった小窓が
幾箇
(
いくつ
)
もあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
美事なグラジオラスの一
鉢
(
はち
)
を、通りの花屋から買って来て、庸三を
顰蹙
(
ひんしゅく
)
せしめたものだが、お節句にはデパアトから
幾箇
(
いくつ
)
かの人形を買って来て、子供の
雛壇
(
ひなだん
)
を
賑
(
にぎ
)
わせたり
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ここにいる若い外人は大抵官省や会社に勤めている技師のようであったが、中には着いたばかりで、借家を捜すあいだの仮りの宿として、
幾箇
(
いくつ
)
かのトランクを持ち込んで来る新婚の夫婦もあった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
箇
常用漢字
中学
部首:⽵
14画
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幾箇所