ぴん)” の例文
しからば、天下てんかひんなんだ。まアいです』となぐさめたが、あるひまた兒島氏こじまし大瀧氏おほたきしところにも、天下てんかぴんとゞいてはせぬか?
「いくらいいものがあっても、おれ背中せなかにあるような、天下てんかぴんはここにもあるまい。」と、おとここころなかでいいながら、ながめていました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある晩和田垣博士と僕とで取替へ取替へ片端かたつぱしから一ぴんも余さず壊して見たが、僕の様な癇癪持かんしやくもちにはまことに便利なそして安価で胸の透く遊戯あそびだと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
隣村となりむらに、もう一人ひとり金持かねもちがありました。この金持かねもちも天下てんかぴん仏像ぶつぞうがぜひたくなりました。それで、わざわざおとこのもとへやってきました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで發掘場はつくつばめぐりしてると、珍把手ちんとつて珍破片ちんはへんすくなからずなかに、大々土瓶だい/″\どびん口邊こうへんの、もつと複雜ふくざつなる破片はへんる。完全くわんぜんつたら懸價無かけねなしの天下てんかぴんだ。
馬車を四馬路スマロに返して杏花楼きやうくわらう上海シヤンハイ一の支那料理の饗応を受けたが、五十ぴんからの珍味は余りにおほきに過ぎて太半たいはん以上のどを通らず、健啖家けんたんか某某ぼうぼう二君も避易へきえきの様子であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
かねはいくらあっても、それだけでは、このなかがおもしろくはありませんでした。どうか天下てんかぴんのものがほしい。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)