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咏
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えい
ふりがな文庫
“
咏
(
えい
)” の例文
我らがこの句を
咏
(
えい
)
じて感動するのは、その景色に感動するばかりでなく、芭蕉の心に感動するのである。
譬
(
たと
)
えてみれば
此処
(
ここ
)
に一本の木がある。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
支那
(
シナ
)
の文人などには、独酌の趣を
咏
(
えい
)
じた作品が古くからあったようだが、
此方
(
こちら
)
では今でも普通の人は酒に相手をほしがる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この地を過ぎて
芭蕉
(
ばしょう
)
が
咏
(
えい
)
じたという「夏草やつはものどもが夢の跡」という句は、あるいは一番永く残るのかも知れぬ。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
貧乏を十七字に
標榜
(
ひょうぼう
)
して、馬の糞、馬の
尿
(
いばり
)
を得意気に
咏
(
えい
)
ずる
発句
(
ほっく
)
と云うがある。
芭蕉
(
ばしょう
)
が古池に
蛙
(
かわず
)
を飛び込ますと、
蕪村
(
ぶそん
)
が
傘
(
からかさ
)
を
担
(
かつ
)
いで
紅葉
(
もみじ
)
を見に行く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
山田
(
やまだ
)
も
読売新聞
(
よみうりしんぶん
)
へは
大分
(
だいぶ
)
寄書
(
きしよ
)
して
居
(
ゐ
)
ました、
私
(
わたし
)
は天にも地にも
唯
(
たゞ
)
一度
(
いちど
)
頴才新誌
(
えいさいしんし
)
と
云
(
い
)
ふのに
柳
(
やなぎ
)
を
咏
(
えい
)
じた
七言絶句
(
しちごんぜつく
)
を出した事が有るが、
其外
(
そのほか
)
には
何
(
なに
)
も無い
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
宇宙万象の秋、人の心に食い込む秋思の傷みを
咏
(
えい
)
じ
尽
(
つく
)
して遺憾なく、かの芭蕉の名句「秋ふかき
隣
(
となり
)
は何をする人ぞ」と
双壁
(
そうへき
)
し、蕪村俳句中の一名句である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「ながらへば
寅
(
とら
)
卯
(
う
)
辰
(
たつ
)
巳
(
み
)
やしのばれん、うしとみし年今はこひしき。」それをばあたかも我が身の上を
咏
(
えい
)
じたもののように
幾度
(
いくたび
)
か
繰返
(
くりかえ
)
して聞かせるのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ユウゴオが壮大なる史景を
咏
(
えい
)
じて、台閣の風ある雄健の筆を振ひ、史乗逸話の上に叙情詩めいたる豊麗を与へたると並びて、ルコント・ドゥ・リイルは、伝説に、史蹟に、内部の精神を求めぬ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
という
其角
(
きかく
)
と
越人
(
えつじん
)
の
両吟
(
りょうぎん
)
は、親がまじないのためにわが子に他人という名を付ける風習を
咏
(
えい
)
じたもので、この俗信は今でもまだ地方には
痕
(
あと
)
を留め
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
天明
(
てんめい
)
三年、蕪村臨終の直前に
咏
(
えい
)
じた句で、彼の最後の絶筆となったものである。白々とした
黎明
(
れいめい
)
の空気の中で、夢のように漂っている梅の気あいが感じられる。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
三更月下
(
さんこうげっか
)
入無我
(
むがにいる
)
とはこの至境を
咏
(
えい
)
じたものさ。今の人は親切をしても自然をかいている。
英吉利
(
イギリス
)
のナイスなどと自慢する行為も存外自覚心が張り切れそうになっている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
赤羽橋
(
あかばねばし
)
の絶句に「
南郭
(
なんかく
)
翁ヲ
懐
(
おも
)
フアリ
悵然
(
ちょうぜん
)
トシテ
咏
(
えい
)
ヲ成ス。」と題して「流水山前寒碧長。遺居何在草荒涼。一橋風月無人詠。漁唱商歌占夜涼。」〔流水山前寒碧長シ/遺居
何
(
いずこ
)
ニ在リヤ草荒涼タリ/一橋ノ風月人ノ詠ム無ク/漁唱商歌夜涼ヲ占ム〕
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
俳諧寺一茶
(
はいかいじいっさ
)
の『方言雑集』の中にも、ちょうどあの人を
咏
(
えい
)
じたような、一章の
臼唄
(
うすうた
)
を書き留めている。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自己の感情を
咏
(
えい
)
じたものだから抒情詩(これも抒情文としてもよろしい)と申したり。性格を描いたり、人生を写したりするんで、小説とか戯曲とかの部類に編入したり。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが男の懐旧談を聴いてもらい泣きをしたという、しおらしい情愛を
咏
(
えい
)
じたものと思われる。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かようにして美的理想を自然物の関係で実現しようとするものは山水専門の画家になったり、天地の景物を
咏
(
えい
)
ずる事を好む支那詩人もしくは日本の俳句家のようなものになります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ当時の余の心持を
咏
(
えい
)
じたものとしてはすこぶる
恰好
(
かっこう
)
である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
咏
漢検1級
部首:⼝
8画
“咏”を含む語句
吟咏
咏嘆
咏歎
一咏嘆
口咏
咏懐
咏込
咏風
実咏
御咏歌
百咏