名義めいぎ)” の例文
だからね、かはりばんこに着ませうよ。實はね、あたしは、名義めいぎはこの家の主人だけど、ほんたうの主人は、この表通りの自轉車屋なのよ。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
しか宗助そうすけ邸宅やしきつてまうけたとはれては心持こゝろもちわるいから、これ小六ころく名義めいぎ保管ほくわんしていて、小六ころく財産ざいさんにしてる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
江戸の陰間茶屋は天保度の改革で一旦廃止になったのですが、その後も給仕男という名義めいぎで営業していました。
半七捕物帳:55 かむろ蛇 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
〔評〕維新のげふは三藩の兵力に由ると雖、抑之を養ふにあり、曰く名義めいぎなり、曰く名分めいぶんなり。或は云ふ、維新のこう大日本史だいにつぽんし及び外史にもとづくと、亦しとせざるなり。
岩居がんきよにむかひ、これは此地にては名をなにとよぶぞとひしに、岩居これはテンプラといふなり、我としごろ此物の名義めいぎさとしがたく、古老こらうにたづねたれどもしる人さらになし
幕府の末年に強藩の士人等が事をげて中央政府に敵し、そのこれに敵するの際に帝室ていしつ名義めいぎを奉じ、幕政の組織を改めて王政のいにしえふくしたるそのきょなづけて王政維新おうせいいしんと称することなれば
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それに、彼は仏天青名義めいぎの二冊の貯金帳を持っているではないか。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼等かれらのあるものは、避暑ひしよといふ名義めいぎもとに、すで東京とうきやうはなれてゐた。あるものは不在ふざいであつた。またあるものは多忙たばうのためときして、勤務先きんむさきはうとつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
岩居がんきよにむかひ、これは此地にては名をなにとよぶぞとひしに、岩居これはテンプラといふなり、我としごろ此物の名義めいぎさとしがたく、古老こらうにたづねたれどもしる人さらになし
小六ころく名義めいぎ保管ほくわんされべき財産ざいさんは、不幸ふかうにして、叔父をぢ手腕しゆわんで、すぐ神田かんだにぎやかな表通おもてどほりの家屋かをく變形へんけいした。さうして、まだ保險ほけんけないうちに、火事くわじけて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)