可被下くださるべく)” の例文
守り相営み不申もうさず候然るに昨日仮葬之節追て日限御知せ可申上御約束之処前件の次第故不悪あしからず御承引可被下くださるべく候右御報道併せて御礼奉申上候也
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
浪花を出てより親里までの道行にて引道具の狂言座元夜半亭と御笑ひ可被下くださるべく候、実は愚老懐旧のやるかたなきよりうめき出たる実情にて候
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
拝啓柳暗花明りゅうあんかめいの好時節と相成候処いよいよ御壮健奉賀がしたてまつりそうろう。小生も不相変あいかわらず頑強がんきょう小夜さよも息災に候えば、乍憚はばかりながら御休神可被下くださるべくそうろう
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
哀れなる友として父の心情をお掬取くみと可被下くださるべくば、なにとぞ我が亡き後、琴の身上たちゆくようお計い有之たく世に知られて家名の恥辱と相成ること無きよう
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
また、可被下くださるべくを「下被可」と書くは、返るを嫌うためである。婚礼の吸い物にはまぐりを用うるは、蛤の貝は幾百個集めてみても、一つも他の貝と合うものがない。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
行蔵こうぞうは我に存す、毀誉きよは他人の主張、我にあずからず我に関せずとぞんじそうろう各人かくじん御示おしめし御座ござそうろうとも毛頭もうとう異存いぞん無之これなくそうろうおん差越之さしこしの御草稿ごそうこう拝受はいじゅいたしたく御許容ごきょよう可被下くださるべく候也そうろう
御礼御序おついで御頼おたのみ申候。なおあなたよりも御祝之品に預り痛み入候。いづれこれより御礼可申上もうしあぐべく候。扇子だけありあわせていし候。御入手可被下くださるべく候。御出張之先之事、御案も候半。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
その後は存外の御無沙汰、平に御海恕可被下くださるべく候。御恵贈の『新俳句』一巻今日学校にて落手、御厚意の段難有奉拝謝候。小生爾来俳境日々退歩、昨今は現に一句も無之これなく候。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
先生御紹介可被下くださるべくと頼候時、武清申候には、隨分承知致候、歸府の上なり共、當地より文通にてなり共、五山へ可申込候まうしこむべくそろ、しかしながらこゝに一つの譯合あり、謝物が薄ければ
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
此心にては、我なから公界之成事にては無御座候。思召おぼしめしやられ候て可被下くださるべく候。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不拘晴雨せいうにかかわらず御恵臨可被下くださるべく
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
心配、恐懼きょうく、喜悦、感慨、希望等に悩まされて従来の病体益〻神経の過敏を致し、日来ひごろ睡眠に不足を生じ候次第、愚とも狂とも御笑ひ可被下くださるべく候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
(心安き間柄失礼は御海恕可被下くださるべく候)所謂いわゆるべくづくしなどは小生の尤も耳障に存候処に御座候。然し「われに酔ふべく頭痛あり」、また「豊年もぼくすべく、新酒もかもすべく」
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ふるきを棄てがたき婦女の心情御憐察可被下くださるべくそうろう
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
心配、恐懼きょうく、喜悦、感慨、希望等に悩まされて従来の病体ますます神経の過敏を致し日来ひごろ睡眠に不足を生じ候次第愚とも狂とも御笑い可被下くださるべく候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
その後は大分御無沙汰御海恕可被下くださるべく候。時下窮陰之候筆硯ひっけんいよいよ御清穆せいぼく奉賀候。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
歌は平等無差別なり、歌の上に老少も貴賤きせん無之これなく候。歌よまんとする少年あらば老人などにかまわず勝手に歌を詠むが善かるべくと御伝言可被下くださるべく候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
歌は平等無差別なり、歌の上に老少も貴賤も無之候。歌よまんとする少年あらば、老人などにかまはず、勝手に歌を詠むが善かるべくと御伝言可被下くださるべく候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
もし生の言が誤れりとおぼさば、いはゆる歌よみの中よりただの一人にても、俳句を解する人を御指名可被下くださるべく候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
かくの如き次第故薬も灸もその他の療養法も折角御教被下くだされ候事ながら小生には難施ほどこしがたき事と御承知可被下くださるべく候。ただ小生唯一の療養法は「うまい物を喰ふ」に有之候。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
(もっともこの辺の論は短歌につきての論と御承知可被下くださるべく候)真淵の家集を見て真淵は存外に『万葉』のわからぬ人とあきれ申候。かく申し候とて全く真淵をけなす訳にては無之候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
右御礼かたがた愚意大略申述候。失礼の段御容赦可被下くださるべく候。頓首とんしゅ。(七月二日)
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
返上へんじょう申候但時々幽霊となつて出られ得る様以特別とくべつをもって御取計可被下くださるべく候也
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)