参詣おまいり)” の例文
旧字:參詣
「かさねまして、いずれ伺いますが、旅さきの事でございますし、それに御近所に参詣おまいりをしたい処もございますから。」
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聞いてくれ、聞いてくれ、静かに聞け! 俺は土屋庄三郎だ! 去年の春だ、桜の夜だ、甲府の神社やしろ参詣おまいりに行った。その時年寄りのきぬ売りがいた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
んだか知りませんが、其の旦那てえのがちっとも来るのを見た事がねえ、何でも夜中よなかに来るんでげしょうよ何処どこかへ参詣おまいりくって時々出え/\したが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鉄屑かなくそぶとりのおおかみさんの死んだ末っ子と、おなじ年齢としだというので、ちょっと遊んだこともあったので、思い出してしかたがないから、浅草観音様かんのんさまへの参詣おまいりにお連れ申したい
藍丸王はあくる朝眼を覚ますと直ぐに身支度を済まして、昨日きのうのように紅木大臣と一所にお城の北の先祖の御廟おたまや参詣おまいりをしたが、それからのちは昨日のように種々いろいろな大仕掛な出来事は無かった。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
以前にも両三度聞いた——かれの帰省談の中の同伴つれは、その容色きりょうよしの従姉いとこなのであるが、従妹はあいにく京の本山へ参詣おまいりの留守で、いま一所なのは
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
参詣おまいりに来た娘
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
欣七郎は朝飯あさはん前の道がものういと言うのに、ちょいと軽い小競合こぜりあいがあったあとで、参詣おまいりの間を一人待つ事になった。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「これではどうせ——三浜みはまさん、らっしゃらないと思ったもんですから、参詣おまいりを先に済ませて、失礼でしたわ。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……もうおそいんでしょう、今日は一つも見えませんわ。前の月の命日に参詣おまいりをしました時、山門を
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あっとも言わせず、踏のめす気か足を挙げた赤熊は、四辺あたりに人は、邪魔は、と見る目に、御堂みどうともしびに送らるるように、参詣おまいりを済まして出た……清葉が、おぼろの町に、あかるいばかりの立姿。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私の両親ふたおやの墓は、ついこの右の方のおか松蔭まつかげにあるんだが、そこへ参詣おまいりをして、墳墓はかの土に、かおりい、すみれの花が咲いていたから、東京へ持って帰ろうと思って、三本みもとばかりんで
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
但し約束は受けていても、参詣おまいり帰途かえりみち眩暈めまいがすると、そのまま引籠ひきこもること度々で。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伜がおなかります頃、女房と二人で、鬼子母神様きしもじんさま参詣おまいりをするのに、ここを通ると、供えものの、石榴ざくろを、私が包から転がして、女房が拾いまして、こぼれた実を懐紙ふところがみにつつみながら
いや、参詣おまいりをしましょう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)