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剽悍
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ひょうかん
ふりがな文庫
“
剽悍
(
ひょうかん
)” の例文
天城四郎はきれいに頭を
剃
(
そ
)
っていた。見るからに
剽悍
(
ひょうかん
)
なあの野武士ていの姿はどこにもない。この寒空にうすい墨の
法衣
(
ころも
)
一枚なのだ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただしその代わり毎年の元旦、選ばれた芸人が
柳営
(
りゅうえい
)
へ参り、祝儀の放歌を奏したものである。里人の性質は
剽悍
(
ひょうかん
)
で、義侠心に富んでいた。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼等に附添って一緒に来た、他の
剽悍
(
ひょうかん
)
なマノノ人等は、犯人達が街を通って牢へ連れて行かれる途中で、大声に呼びかけた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
徒刑場における彼は、険悪で、
陰鬱
(
いんうつ
)
、純潔で、無学で、
剽悍
(
ひょうかん
)
であった。その老囚徒の心は少しもわるずれていなかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
五尺そこそこの身体に土佐犬のような
剽悍
(
ひょうかん
)
さが溢れて、
鳩尾
(
みぞおち
)
の釘抜の刺青が
袷
(
あわせ
)
の襟下から松葉のようにちらと見える。
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
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文中記載のゴリラを
生獲
(
いけどり
)
してこの一行に持ち込んだらしい
剽悍
(
ひょうかん
)
兀鷹
(
ズール
)
族の一隊というのは、その千八百哩の彼方密林中に住んでいた土人種族にしても
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「私は役場のものですが、私は文化を農村へ注入したいのですよ。それにはどういうことが良いと思われますか。」と、一人の若い
剽悍
(
ひょうかん
)
な人が訊ねた。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
骸骨の塔の高さを誇る鼻の種族は、敵を見る事草木の如き
剽悍
(
ひょうかん
)
無残の鼻を真っ先に立てて、毒矢毒槍を揮いました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、そう云われてみれば成る程ひどく
剽悍
(
ひょうかん
)
そうな体つきをしている、その見知らぬ男の顔をまじまじと眺めたのであった。と
忽
(
たちま
)
ち男の顔に不吉な影が浮んだ。
薔薇の女
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
私はこういう
剽悍
(
ひょうかん
)
な奴が、眼をランランと光らせて、樺太の密林のなかを
彷徨
(
ほうこう
)
している姿を想像した。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
なるべく
剽悍
(
ひょうかん
)
な、
獰猛
(
どうもう
)
な犬であればある程、それに護衛されながら行く婦人の容姿が、ひと際引き立って魅惑的な印象を与える。と、そういうのが巴里子の持論であった。
日本に於けるクリップン事件
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この
剽悍
(
ひょうかん
)
な専制君主も、時にすこぶる子供つぽい滑稽な一面をまる出しにすることがあつた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
それに、どちらも、五人が想像していたような
剽悍
(
ひょうかん
)
な装備はしていなかった。自動小銃も持っていなければ、弾帯もつけていない。教授の手に一梃の拳銃があるだけだった。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大坪流の古高新兵衛は
逞
(
たくま
)
しい
黒鹿毛
(
くろかげ
)
、八条流の黒住団七は
連銭葦毛
(
れんせんあしげ
)
、上田流の兵藤十兵衛は
剽悍
(
ひょうかん
)
な三
歳
(
さい
)
栗毛
(
くりげ
)
、最後に荒木流の江田島勘介は、ひと際逞しい
鼻白鹿毛
(
はなじろかげ
)
に打跨りつつ
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
黒い
剽悍
(
ひょうかん
)
そうな
縮毛
(
ちぢれげ
)
の頭に花環飾りをのせ、胸にも同じような花飾りを吊っている。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
街を、
剽悍
(
ひょうかん
)
な蒙古騎兵の一隊が南へ、砂煙を立てながら、風のように飛んで行く。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
辣腕
(
らつわん
)
と
剽悍
(
ひょうかん
)
との点においては近代これに
比肩
(
ひけん
)
する者無しと
嘆
(
たん
)
ぜられているひと。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
毎年秋風が立ちはじめると
決
(
きま
)
って漢の北辺には、
胡馬
(
こば
)
に
鞭
(
むち
)
うった
剽悍
(
ひょうかん
)
な侵略者の大部隊が現われる。辺吏が殺され、人民が
掠
(
かす
)
められ、家畜が奪略される。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
と、初めて、怒声を叩き返したのは、
剽悍
(
ひょうかん
)
なる原士のひとり、無謀! 血気な太刀に風をくらわせて、
閃光
(
せんこう
)
とともに弦之丞の身辺へ躍りかかって行った。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるにこの島の土人なる者が、昔から
剽悍
(
ひょうかん
)
でございましたので、幾多著名の冒険家達もついにこの島を窺うことが出来ず、今日まで捨てられておりました。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だが、この秀の浦が、なるほど珍しいくらいな小男の醜男でしたが、
剽悍
(
ひょうかん
)
の気その全身にみなぎりあふれて、見るからにひとくせありげな、ゆだんのならぬつらだましいでありました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
目をつっつきそうに伸びすぎて
剽悍
(
ひょうかん
)
に見える黒いオカッパの下から、時々真面目くさった視線で二郎の方を見ながら、運動をつづけているのであったが、やがて二郎が、ぶっきら棒に
乳房
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼はスラリとした長身で、その骨組はまるでシェパードのように
剽悍
(
ひょうかん
)
に見えた。ただ彼はいつものように眼から下の半面を覆面し、鳥打帽の下からギョロリと光る二つの眼だけを見せていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その時は、北方から
剽悍
(
ひょうかん
)
な遊牧民ウグリ族の一隊が、馬上に
偃月刀
(
えんげつとう
)
を
振
(
ふ
)
りかざして
疾風
(
しっぷう
)
のごとくにこの部落を
襲
(
おそ
)
うて来た。湖上の民は必死になって
禦
(
ふせ
)
いだ。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
剽悍
(
ひょうかん
)
で一徹者、何ごとにも荒けずりな性格を見せる天堂が、妙に楽しまぬ色で、考えこんでいるので、周馬と孫兵衛がだんだんたずねると、やっと、口を開いた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すぐに走り出していった様子でしたが、程経て下僕が、一匹の見るからに
剽悍
(
ひょうかん
)
無比などら猫を曳いて帰ったので、退屈男は手ずからそれなる不審の鯛をとりあげると、笹折ごとに投げ与えました。
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
孔子はこの
剽悍
(
ひょうかん
)
な弟子の無類の美点を
誰
(
だれ
)
よりも高く買っている。それはこの男の純粋な没利害性のことだ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
或は、世の中の推移にかかわらず世間の抜け目ばかり
窺
(
うかが
)
っているゴマの灰とか、
人買
(
ひとかい
)
とかいう、道中荒らしの
鼠賊
(
そぞく
)
か。さもなければ、
剽悍
(
ひょうかん
)
なるこの地方の野武士か。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剽
漢検1級
部首:⼑
13画
悍
漢検1級
部首:⼼
10画
“剽悍”で始まる語句
剽悍無比
剽悍性