出直でなほ)” の例文
彼は足の進まない方角へ散歩にたのを悔いた。もう一遍出直でなほして、平岡のもとかうかと思つてゐる所へ、森川町から寺尾がた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さかええよかしでいははれてよめに来たのだ、改良竈かいりやうかまどと同じくくすぶるへきではない、苦労くらうするなら一度かへつて出直でなほさう。いかさまこれは至言しげんと考へる。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
自宅の門を出る時にも、何か出かたの気に入らざる時にはもう一度家へ引返し、更に出直でなほすと言ふ位なれば、神経質なることおもふべし。小学時代に僕と冒険小説を作る。
学校友だち (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
えつさ、こらさ、とむぎ背負しよつて、下男げなんどもが出直でなほして、薪雜木まきざつぽうぐすねいて
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また出直でなほして、けば行過ゆきす
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「僕は又ます。出直でなほして御父おとうさんに御目にかゝる方がいでせう」と立ちにかかつた。梅子は其あひだに回復した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
矢張やつぱ当日たうじつこゝろざした奥州路おうしうぢたびするのに、一たん引返ひきかへして、はきものをへて、洋杖すてつきと、たゞ一つバスケツトをつて出直でなほしたのであるが、くるま途中とちうも、そではしめやかで、上野うへのいたとき
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
代助はおびあひだから時計を出して見た。ちゝの所へてゐる客は中々なか/\帰りさうにもなかつた。そらは又くもつてた。代助は一旦引きげて又あらためて、ちゝはなしけに出直でなほす方が便宜だとかんがへた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とがらりと出直でなほる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)