どこ)” の例文
旧字:
そこで竿をいたわって、しかも早くらちくようにするには、竿の折れそうになる前に切れどこから糸のきれるようにして置くのです。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ほかに身寄親類もないから駈出してもどこがない私ゆえこらえてはいましたが、今日という今日は真に辛いから私は駈出して、身を投げて死にますよ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
昼は潟魚かたうおいちも小さく立つ。——村の若い衆の遊びどこへ、艪数ろかず三十とはなかつたから、船の難はなかつた。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
兼吉がそこどこは受け合はれませぬ、竹ちやんが岡惚帳おかぼれちょうこしらへれば、いいえあら嫌なんてつたつて話すわ、梅ちやんも人真似をして、ためになるお客の上には大の字
そめちがへ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
カンテラをともしたござの上に坐って調子もカンどこも合わない「一ツとや」を一晩中休みなしに弾いていた。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「有ますとも。足の傷はあれでなかなか馬鹿にならん。現在、私のおいがそれだ——どこが悪かったと見えて、直に往生まいって了った。人間の命はもろいものさ……見給え、この虫の通りだ」
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
爆弾ハッパ隠匿かくどこなどもアラカタ残らず、探り出してしまったものです。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一方道で是非彼処を参らなければなりませんが、彼処に福田屋龍藏親分が住居致して居りまして通ります人の休みどこで飴菓子を売って居ましたのがはじめ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母様っかさんわたししんもって改心して見ると生きては居られない程辛いから、私を貴方の弟子にして下さいな、ほかに往きどこもないから、お前さんの側へ置いて下されば
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それどこじゃアないよ、こうしてお前の事を心配して来たのだ、這入りにくがって門口をうろ/\していたが、切羽詰りになって這入って来たんだが、私も忘れちまったあね
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
清「何処だって別に入れどこがねえから、新家しんやの六畳の方へ入れてまんまア喰わして置いただ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
江戸の田原町の小市の手から山口屋へ参って話をいたしまして、玉を見せると、品といい器量といい、起居振舞たちいふるまい裾捌すそさばき、物の云いようまで一つも点の打ちどこのない、天然備わった美人で
母は心配でございますが、致し方がないので、泣く/\別れて、さて奉公に参って見ると、器量はし、起居動作たちいふるまい物の云いよう、一点も非の打ちどこがないから、至極作左衞門の気に入られました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
安「ちっとどこじゃ有りやせん、あのさむれえつらは死んでも忘れねえ」