値打ねう)” の例文
でもこのばあさんの言ってくれることは考え直す値打ねうちがあった。それにわたしたちはききらいをしてはいられなかった。
「お早いのには、呂宋兵衛もしたきましたよ。さすがは、伊賀者頭いがものがしらでお扶持ふちをもらっているだけのお値打ねうちはある」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これが千りょう値打ねうちのあるほとけさまですか。」と、なかには、おそるおそる近寄ちかよってながめるひとたちもあったのです。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「正三は承知さえすれば、忠義にも孝行にもなると同時に、自分の身も立ちます。けれども親や兄貴あにき権力けんりょく圧迫あっぱくしたんじゃなんにもなりません。自発的のところに値打ねうちがあるんです」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その午後かれらがごくわずかの値打ねうちしかない品物を売るところを見た。わたしたちはある大きな村に着くと、馬車は広場に引き出されていた。
あの仏像ぶつぞうが、きんであったら、たいへんな値打ねうちのものだろうが、どうせそんなものでないにはきまっている。それにけていて、どのみち、たいした代物しろものではない。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これでもうだれも異議いぎを申し立てなかった。わたしたちはみんなフレームの値打ねうちを知っていた。それが植木屋にどれほどだいじなものかわかっていた。
かれは、若者わかものが、このいし値打ねうちをらないのをさいわいに、この砂漠さばくなかたびするあいだに、どうかして、自分じぶんのものとする工夫くふうはないかとおもったので、わざと平気へいきかおつきをして
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ははあ、このこぞうはことばの値打ねうちを知っている。らぬことは言わぬ。おまえはイタリア人ではないな」
「うぬぼれてはいけない。おまえたちぐらいのは、このやまにざらにあるじゃないか。人間にんげんどもは、おれ姿すがた値打ねうちにしようとおもっているのだ。」と、みき冷笑れいしょうしました。
葉と幹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たとえばここにあれらと仲間なかまになって、ばかの役をつとめる者があれば、いっそうそれらの値打ねうちがわかるのだ。そこでわたしはおまえさんのこの子どもがしいというのだ。
さあ、地金じがねのことは、ぞんじませんが、鑑定かんていしてもらうと、やすくて千りょう値打ねうちがあるとのことです。先刻せんこくも、むらのだんなさまがえて、千りょうゆずってほしいといわれました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いままでのようななかでは、しかたがない。かけはどんなでも、ほんとうにやくつものをつくらなければ、なんの値打ねうちもないのだ。人間にんげんおなじことだぞ。」と、おとうさんが
正二くんの時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこでわれわれのあとからついて来る群衆ぐんしゅうの数が相応そうおうになると、さっそく演芸えんげいを始めるが、ほんの二、三人気まぐれなやかしのお客だけだとみると、わざわざ足を止める値打ねうちもないので