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依怙地
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えこじ
ふりがな文庫
“
依怙地
(
えこじ
)” の例文
ひょっと見、意地悪法師に思えもしたが、どことなく、
依怙地
(
えこじ
)
の底に愛嬌みたいな楽天性のあることが、その
態
(
てい
)
でも、うかがわれる。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お前はそれをよく知っていながら、『いや、彼は王党だ、彼の所へ行くもんか、』と言った。そしてお前は
防寨
(
ぼうさい
)
に行き、
依怙地
(
えこじ
)
に生命を捨ててしまった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
お松は少し
依怙地
(
えこじ
)
になったのと、内々はお花のいるのを力にしているのとで、表面だけは強そうに見せている。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
タカを括り過ぎて
依怙地
(
えこじ
)
になられては厄介なので、是非なく庄造は膝頭を揃へ、キチンと畏まつてすわり直すと、
前屈
(
まえかが
)
みに、その膝の上へ両手をつきながら
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「警視庁で精神鑑定をしたが、少し学者らしい
依怙地
(
えこじ
)
なところはあるが、大した異状はないと言うことだ」
音波の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
もし政府が神経質で
依怙地
(
えこじ
)
になって社会主義者を堰かなかったならば、今度の事件も無かったであろう。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
けれどもいつか立ち出した風も僕の顔へ薄い
塵
(
ちり
)
を吹きつけて来るのに違いなかった。僕は自然と
依怙地
(
えこじ
)
になり、とにかく四時になるまでは控室へはいるまいと決心した。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「よっぽど心臓が丈夫だったんだべえさ、軍医もこんな
依怙地
(
えこじ
)
な心臓にゃあこれまでおめにかかったことがねえって、心臓がこんなに丈夫でもよし悪しだって云ってたっけだ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼等は、首領の云い出したらあとへは引かぬ、
依怙地
(
えこじ
)
な気性をよく呑みこんでいたからだ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああいう女は、一旦
依怙地
(
えこじ
)
となったら、殺されても
喋
(
しゃべ
)
らないものだ。赤見沢はさすがにそれを心得て雇っている。沈黙女史は今のところそっとして置くしかない。しかし——帆村君。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「何という
依怙地
(
えこじ
)
な男だろう」と井伏さんは太宰のことをいっている。この話はおもしろい。二人の生活の速度というようなものが、図らずも、この点滴の割合にあらわれているように思われる。
井伏鱒二によせて
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
困る事には、ポルジイは
依怙地
(
えこじ
)
な
奴
(
やつ
)
で、それが出来ないなら
云々
(
うんうん
)
すると、暗に種々の秘密を示して
脅
(
おびや
)
かす。それが
総
(
すべ
)
て身分不相応な事である。そこで邸では
幾度
(
いくたび
)
となく秘密の親族会議が開かれた。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
度々
(
たび/\
)
行く様に成るとそこは
阿漕
(
あこぎ
)
の浦に
引網
(
ひくあみ
)
とやらで
顕
(
あらわ
)
れずには居ない、其の番頭が愚図/\云うに違いない、
然
(
そ
)
うすると私が
依怙地
(
えこじ
)
に成って何を云やアがる
此方
(
こっち
)
じゃア元より一つ長屋に居たんだ
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「もう夏のころから、願書を出してあるが、あの
依怙地
(
えこじ
)
な代官の
萩原年景
(
はぎわらとしかげ
)
が、今もって、許すとはいわぬ。——これでは
獄舎
(
ひとや
)
よりもひどい
住居
(
すまい
)
じゃ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
タカを
括
(
くく
)
り
過
(
す
)
ぎて
依怙地
(
えこじ
)
になられては厄介なので、是非なく庄造は
膝頭
(
ひざがしら
)
を揃へ、キチンと
畏
(
かしこ
)
まつてすわり直すと、
前屈
(
まえかが
)
みに、その膝の上へ両手をつきながら
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「よっぽど心臓が丈夫だったんだべえさ、軍医もこんな
依怙地
(
えこじ
)
な心臓にゃあこれまでおめにかかったことがねえって、心臓がこんなに丈夫でもよし
悪
(
あ
)
しだって云ってたっけだ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「よしよし何かわけがあるだろう。若い者はとんだところで
依怙地
(
えこじ
)
になるものだ」
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日光が色々に邪魔をする物のある秀麿の
室
(
へや
)
を、物見高い心から、
依怙地
(
えこじ
)
に覗こうとするように、
窓帷
(
まどかけ
)
のへりや書棚のふちを彩って、
卓
(
テエブル
)
の上に幅の広い、明るい帯をなして、インク
壺
(
つぼ
)
を光らせたり
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
世間が
誹
(
そし
)
るとあれば、なお死なぬ、赤穂の浪人共が、狙うとあらば、意地でも生きてみせる。わしは、元来が、そういう
依怙地
(
えこじ
)
に出来ている人間じゃ。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
タカを
括
(
くく
)
り過ぎて
依怙地
(
えこじ
)
になられては
厄介
(
やっかい
)
なので、是非なく庄造は
膝頭
(
ひざがしら
)
を
揃
(
そろ
)
え、キチンと
畏
(
かしこ
)
まってすわり直すと、
前屈
(
まえかが
)
みに、その膝の上へ両手をつきながら
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それに近ごろ、他の同僚たちが、暗にお芳との恋を
諫
(
いさ
)
めだてする口ぶりなのが、よけいに慎吾を
依怙地
(
えこじ
)
にさせた。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、此方も
依怙地
(
えこじ
)
に追ひかけて行つて、鶏の肉だの牛乳だのを
執拗
(
しつッこ
)
く持ち廻りながら、鼻の先へ
擦
(
こす
)
り着けるやうにしてやつても、今日ばかりはその好物の匂にも釣られなかつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妙な
依怙地
(
えこじ
)
になって、かえって、女の味方になり、よそへ逃がしてしまうかも知れませんて……とかく人間というやつ、その依怙地のほうへ曲りたがるものでしてな
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、此方も
依怙地
(
えこじ
)
に追ひかけて行つて、鶏の肉だの牛乳だのを
執拗
(
しつッこ
)
く持ち廻りながら、鼻の先へ
擦
(
こす
)
り着けるやうにしてやつても、今日ばかりはその好物の匂にも釣られなかつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「喜代や——。おまえ、お連れして、差し上げるといい。あんな、
依怙地
(
えこじ
)
な兄さんだから、また、お前でも
尾
(
つ
)
いてゆかないと、渡して下さらないかも知れないし……」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、此方も
依怙地
(
えこじ
)
に追いかけて行って、鶏の肉だの牛乳だのを
執拗
(
しつッこ
)
く持ち廻りながら、鼻の先へ
擦
(
こす
)
り着けるようにしてやっても、今日ばかりはその好物の匂にも
釣
(
つ
)
られなかった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
見れば、まだ若いのに、道安は
跛足
(
びっこ
)
であった。——
千宗易
(
せんのそうえき
)
の長男であるから、いわゆる大家の若旦那の風はあるが、そうした体なので、
依怙地
(
えこじ
)
できかない気性だといわれている。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老後は知らず、いまにおいては、せっかく蓄えたこの黒髪を、あたら再び
剃
(
そ
)
る気はない。……と、ばかりでは、叡慮にたてつくまろの
依怙地
(
えこじ
)
のように取られもせんが、世を思うためだ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おまけに、ここへ着いたら小降りだぜ、いやに
依怙地
(
えこじ
)
にできてやがる」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
依怙地
(
えこじ
)
だな、ひどく」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“依怙地”の意味
《名詞》
依 怙 地 (いこじ, えこじ)
強情で自分の考えを押し通すこと。
(出典:Wiktionary)
依
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
怙
漢検1級
部首:⼼
8画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“依怙地”で始まる語句
依怙地者