何不足なにふそく)” の例文
いったいわたくしはもう二千ねんむかしからこのみずうみの中にんで、何不足なにふそくなくらしていたものでございます。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いま自分じぶんまへすわつてゐる叔母をばは、たつた一人ひとりをとこんで、そのをとこ順當じゆんたうそだつて、立派りつぱ學士がくしになつたればこそ、叔父をぢんだ今日こんにちでも、何不足なにふそくのないかほをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どんな天気てんきにでも、外にいるのになれているらしく、寒いのなどは、平気へいきのように見えました。もうひとりのほうは、ふとっていて、身なりもりっぱで、何不足なにふそくないお百姓ひゃくしょうさんのようでした。
ここに、金持かねもちの老人ろうじんがありました。何不足なにふそくなくらしていました。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小六ころく何不足なにふそくなく叔父をぢいへ寐起ねおきしてゐた。試驗しけんけて高等學校かうとうがくかう這入はいれゝば、寄宿きしゆく入舍にふしやしなければならないとふので、その相談さうだんまですで叔父をぢ打合うちあはせがしてあるやうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小六ころくちゝんで、すぐと叔父をぢられて以來いらい學校がくかうへもけるし、着物きもの自然ひとりで出來できるし、小遣こづかひ適宜てきぎもらへるので、ちゝ存生中ぞんしやうちゆうおなやうに、何不足なにふそくなくらせて惰性だせいから、其日そのひ其晩そのばんまで
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)