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他方
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たほう
が、一
方にかくうれしさがこみあぐると
同時に、
他方には
何やら
空恐ろしいような
感じが
強く
胸を
打つのでした。
友の思想と自分の思想とは
常に
殆ど同じで、其の一方の感ずることは
軈て
又他方の
等しく感ずる處であるが、
今の
場合のみは、私は
直に
賛同の意を
表することが出來なかツた。
一方では
下敷の
下から
助けを
乞ふてわめき、
他方では
消防の
急を
告ぐるさけび、これに
和して
絶え
間なき
餘震の
鳴動と
大地の
動搖とは、
幸に
身を
以て
免れたものには
手の
下しようもなかつたであらう。
一
方は
自分達の
仲間から
親しい
人を
失うのでございますから、
沈み
切って
居りますのに、
他方は
自分達の
仲間に
親しき
人を
一人迎えるのでございますから、
寧ろ
勇んでいるような
一
方は
火竜、
他方は
水竜——つまり
陽と
陰との
別な
働きが
加わるから、そこに
初めてあの
雷鳴だの、
稲妻だのが
起るので、
雨に
比べると、この
仕事の
方が
遥かに
手数がかかるのじゃ……。