事實じゝつ)” の例文
新字:事実
事實じゝつ此世このよひとかもれないが、ぼくにはあり/\とえる、菅笠すげがさかぶつた老爺らうやのボズさんが細雨さいううちたつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
きみ彼等かれらしんじなさるな。うそなのです。わたし病氣びやうきふのはそも/\うなのです。二十年來ねんらいわたしまちにゐてたゞ一人ひとり智者ちしやつた。ところれは狂人きちがひるとふ、是丈これだけ事實じゝつです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
... 眞面目まじめ事實じゝつ流行りうかう小説せうせつとはすこおもむきことにしますから』と兒玉こだま微笑びせうらして『小説せうせつ面白おもしろ御座ございます。けれども事實じゝつさら面白おもしろ御座ございます。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しか這麼心遣こんなこゝろづかひ事實じゝつおいても、普通ふつう論理ろんりおいてもかんがへてればじつ愚々ばか/\しい次第しだいで、拘引こういんされるだの、獄舍らうやつながれるなどこと良心りやうしんにさへやましいところいならばすこしも恐怖おそるるにらぬこと
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)