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じゝつ
事實、
此世に
亡い
人かも
知れないが、
僕の
眼にはあり/\と
見える、
菅笠を
冠つた
老爺のボズさんが
細雨の
中に
立て
居る。
君は
彼等を
信じなさるな。
嘘なのです。
私の
病氣と
云ふのは
抑恁うなのです。二十
年來、
私は
此の
町にゐて
唯一人の
智者に
遇つた。
所が
其れは
狂人で
有ると
云ふ、
是丈の
事實です。
...
眞面目な
事實は
流行の
小説とは
少し
趣を
異にしますから』と
兒玉は
微笑を
洩らして『
小説も
面白う
御座います。けれ
共事實は
更に
面白う
御座います。』
然し
這麼心遣は
事實に
於ても、
普通の
論理に
於ても
考へて
見れば
實に
愚々しい
次第で、
拘引されるだの、
獄舍に
繋がれるなど
云ふ
事は
良心にさへ
疚しい
所が
無いならば
少しも
恐怖るに
足らぬ
事