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乱杭
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らんぐい
ふりがな文庫
“
乱杭
(
らんぐい
)” の例文
旧字:
亂杭
きたない
乱杭
(
らんぐい
)
歯だったのにと俺は俺の眼を疑った。色白の、むくんだような顔も、かつてのアビルと同一人物とは思えぬ変りようだ。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
どうでえ、
手前
(
てめえ
)
できのいい女郎に、子供を生ませて——とこう眺めていると、鼻は
獅子
(
しし
)
鼻、歯は
乱杭
(
らんぐい
)
、親の因果が、子に報いって
面
(
つら
)
だなあ
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
眼がひきつり、
乱杭
(
らんぐい
)
歯をむきだしにして、唇の部厚な口が、ポカッと開いている。狸のようである。マンは、耳を男の胸にくっつけてみた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
義仲勢は、宇治も勢多も橋板をはずし、川底に
乱杭
(
らんぐい
)
を打ちこみ、そこへ縦横に大綱を張り廻らし、またこれに
逆茂木
(
さかもぎ
)
をつないで流してある。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
国をあげて、外敵にそなえた日の
防柵
(
ぼうさく
)
や石垣や
乱杭
(
らんぐい
)
の
腐木
(
ふぼく
)
などが、今も
川床
(
かわどこ
)
や草の根に見あたらなくはない。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
朝焼けの揺らめいた川波には坊主頭の
死骸
(
しがい
)
が一人、磯臭い水草や
五味
(
ごみ
)
のからんだ
乱杭
(
らんぐい
)
の間に漂っていた。——彼は未だにありありとこの朝の百本杭を覚えている。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
磯に沿うた
崖
(
がけ
)
と、小屋の支えになった
乱杭
(
らんぐい
)
の間の細道を歩かせられて、どうやら材木小屋の下を
潜
(
くぐ
)
って深い
穴蔵
(
あなぐら
)
の中へ引張り込まれて行くように思われてきました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今の世に
何人
(
なんびと
)
の戯れぞ。
紀文
(
きぶん
)
が
杯流
(
さかずきなが
)
しの昔も忍ばるる
床
(
ゆか
)
しさと思う
間
(
ま
)
もなく、早や二、三
艘
(
そう
)
の屋根船が音もなく流れて来て石垣の下なる
乱杭
(
らんぐい
)
に
繋
(
つな
)
がれているではないか。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「これぞ、
自然
(
おのずから
)
なる要害、樹の根の
乱杭
(
らんぐい
)
、
枝葉
(
えだは
)
の
逆茂木
(
さかもぎ
)
とある……広大な空地じゃな。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前の竿の先の見当の
真直
(
まっすぐ
)
のところを御覧。そら
彼処
(
あすこ
)
に古い「出し
杭
(
ぐい
)
」が
列
(
なら
)
んで、
乱杭
(
らんぐい
)
になっているだろう。その中の一本の杭の横に大きな
南京釘
(
ナンキンくぎ
)
が打ってあるのが見えるだろう。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
吹き通しも夏はせいせいして心持ちがいいものだ、不用心だって金のないところに盗難のあるはずはない。だから主人の家に、あらゆる
塀
(
へい
)
、垣、
乃至
(
ないし
)
は
乱杭
(
らんぐい
)
、
逆茂木
(
さかもぎ
)
の類は全く不要である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうだろう。その方の人相は、どう買い被っても悪人という相じゃない。鼻が
反
(
そ
)
っくり返って、眼尻が下がって、歯が少し
乱杭
(
らんぐい
)
だな、そんな刻みの深い顔は、すべて善人か愚人にあるものじゃ」
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
痙攣
(
ひきつ
)
ったように、ふるえだした。醜悪な顔が化物のようになり、むきだされた
乱杭
(
らんぐい
)
歯が、ガチガチ、鳴る。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
無数な人馬の
屍
(
かばね
)
は、河中の張り縄や
乱杭
(
らんぐい
)
にひッかかったまま水に洗われており、橋板のない大橋の上にも矢に仆れた味方の死者が、あえなく橋ゲタに伏したり、ブラ下がって
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「百本杭」はその名の示す通り、河岸に近い水の中に何本も立っていた
乱杭
(
らんぐい
)
である。昔の芝居は殺し場などに多田の薬師の石切場と一しょに度々この人通りの少ない「百本杭」の河岸を使っていた。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
遥か奥の
方
(
かた
)
には、葉のやや枯れかかった
葡萄棚
(
ぶどうだな
)
が、影を
倒
(
さかしま
)
にうつして、
此処
(
ここ
)
もおなじ
溜池
(
ためいけ
)
で、門のあたりから間近な橋へかけて、
透間
(
すきま
)
もなく
乱杭
(
らんぐい
)
を打って、
数限
(
かずかぎり
)
もない材木を水のままに
浸
(
ひた
)
してあるが
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてなお、川の中には、
乱杭
(
らんぐい
)
を打込み、大綱を張りまわし、
膳所
(
ぜぜ
)
ヶ
瀬
(
せ
)
、
供御
(
くご
)
ノ
瀬
(
せ
)
のあたりまでは水も見えぬほどな
流木
(
りゅうぼく
)
だった。すべて敵の渡河にたいする防禦であるのはいうまでもない。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歯糞のたまった、黄色い
乱杭
(
らんぐい
)
歯を、猿のように、むきだして
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
“乱杭(パンジ・スティック)”の解説
パンジ・スティック(en: Punji stick)またはパンジ・ステーク(en: Punji stake)は、先端を尖らせた竹や木の断片で、簡易なブービートラップや障害物として用いられる。日本でも似たように木などで作られたものが弥生時代や江戸時代に使われ、乱杭、乱杙(らんぐい)と呼ばれた。
(出典:Wikipedia)
乱
常用漢字
小6
部首:⼄
7画
杭
漢検準1級
部首:⽊
8画
“乱杭”で始まる語句
乱杭歯
乱杭石
乱杭際
乱杭逆茂木
乱杭逆茂木幔幕