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七月
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しちぐわつ
……それが、
溝を
走り、
床下を
拔けて、しば/\
人目につくやうに
成つたのは、
去年七月……
番町學校が
一燒けに
燒けた
前後からである。
三十七
年一
月大雪の
害と、
其七月疫疾の
爲に、
牛馬其半を
失ひたるの
災厄あり。
其他天災人害蝟集し
來り、
損害を
蒙る
事夥しく、
余が
心を
惱したる
事實に
尠からざるなり。
去年の
事である。
一雨に、
打水に、
朝夕濡色の
戀しく
成る、
乾いた
七月のはじめであつた。
此の
時間前後の
汽車は、
六月、
七月だと
國府津でもう
明くなる。
八月の
聲を
聞くと
富士驛で、まだ
些と
待たないと、
東の
空がしらまない。
私は
前年、
身延へ
參つたので
知つて
居る。