一連いちれん)” の例文
禰宜 (略装にて)いや、これこれ(中啓ちゅうけいげて、二十五座の一連いちれん呼掛よびかく)大分だいぶ日もかげって参った。いずれも一休みさっしゃるがいぞ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
内新好ないしんかうが『一目ひとめ土堤づゝみ』に穿ゑぐりしつう仕込じこみおん作者さくしや様方さまがた一連いちれんを云ふなれば、其職分しよくぶんさらおもくしてたふときは扇子せんす前額ひたひきたへる幇間だいこならんや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
旗艦きかん陸奥むつ檣頭しょうとう高く「戦闘準備」の信号旗に並んで、もう一連いちれんの旗が、するすると上って行った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
佐藤則清(二十二歳、後の西行法師)——などみな鳥羽院北面の武者。そして、世の末期的症状への懐疑、鬱屈、脱皮など、ひとしく若いぐちにもがく一連いちれんの時代の青年たち。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
打切したる岸にはかりに小屋をつくりて、漁師れふしども昼夜ちうやこゝにありて夜もずして鮏のかゝるをまつ也。七月より此わざをなしはじめて十二月かんあくまで、一連いちれんのものかはる/\此小屋にありて鮏をとる。
すると国長が最後に叫んだ、一連いちれんの言葉が思い出された。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ねずみのぐたりとした帽子ばうしかぶつて、片手かたてつゑみぎ手首てくびに、赤玉あかだま一連いちれん數珠じゆずにかけたのに、ひとつのりん持添もちそへて、チリリリチリリリと、おほきつてらし
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その信号は、再び平靖号のヤードに、一連いちれんの旗となってひらひらとひるがえった。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)