“ぼんぼり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
雪洞91.5%
洞燈2.1%
雪灯1.1%
京行灯1.1%
手燭1.1%
灯烙1.1%
蘭燈1.1%
雪燈1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
此隙このひまに私は母と談判を始めて、今晩一晩泊めて遣ってと、雪洞ぼんぼりを持った手に振垂ぶらさがる。母は一寸ちょっと渋ったが、もう斯うなっては仕方がない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
やみの中でも、石だけは白く光っている、穂高岳をふと振りあおぐと、あの肉塊隆々とした、どす黒い岩壁の、空を境にした山稜を、遠くから洞燈ぼんぼりをさしかざしたように、柔らかな光線が、のたのたと
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
れいなにといひかぬるを、よう似合にあふのうとわらひながら、雪灯ぼんぼりにして立出たちいでたまへば、蝋燭ろうそくいつか三ぶんの一ほどにりて、軒端のきばたかがらしのかぜ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
用心口ようじんぐちしてお寢間ねまもどたまひしが再度ふたゝびつてお菓子戸棚くわしとだなのびすけつとのびんとりいだし、お鼻紙はながみうへけておしひねり、雪灯ぼんぼり片手かたてゑんいづれば天井てんぜうねづみがた/\とれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
寒々としたひろい書院の、金蒔絵きんまきえ京行灯ぼんぼりをへだてて、南町奉行池田甲斐守と控同心の藤波友衛が、さしうつむいたまま、ひっそりと対坐している。
それとにはか心着こゝろづけば、天窓あたまより爪先まで氷を浴ぶる心地して、歯の根も合はずわなゝきつゝ、不気味にへぬ顔をげて、手燭ぼんぼりの影かすかに血の足痕あしあと仰見あふぎみる時しも、天井より糸を引きて一疋いつぴきの蜘蛛垂下たれさが
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
人形しかけもの台には灯烙ぼんぼりがともり多彩な幾つもの車楽はやし飾車だしは、群集にゆれながら近づいて来るのであつた。
仙台の夏 (新字旧仮名) / 石川善助(著)
蘭燈ぼんぼりにてらされて、長い廊下を歩いていって、しずかな、清らかな美しいお顔を見ると、全くこの世の人ではない気がしたといわれた。そして、どうしてゆかないのかと、再び問われた。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
窓の月は、キラリとこうがいつやに光って、雪燈ぼんぼりは仄かに玉のごときうなじを照らした。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)