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雪灯
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ぼんぼり
お
禮も
何といひかぬるを、よう
似合のうと
笑ひながら、
雪灯手にして
立出給へば、
蝋燭いつか三
分の一ほどに
成りて、
軒端に
高し
木がらしの
風。
用心口を
鎖してお
寢間へ
戻り
給ひしが
再度立つてお
菓子戸棚のびすけつとの
瓶とり
出し、お
鼻紙の
上へ
明けて
押ひねり、
雪灯を
片手に
縁へ
出れば
天井の
鼠がた/\と
荒れて
あれも
矢つ
張いたづら
者と
烟管を
置いて
立あがる、
女猫よびにと
雪灯に
火を
移し
平常着の八
丈の
書生羽織しどけなく
引かけて、
腰引ゆへる
縮緬の、
淺黄はことに
美くしく
見えぬ。