“たおやめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
美女28.6%
手弱女20.0%
美人20.0%
嫋女14.3%
手嫋女5.7%
艶女2.9%
麗人2.9%
女性2.9%
麗女2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「で、誰だって、煩悩ぼんのうを起すだろうじゃねえか。ましてや山だ、しかも夜半よなか、おまけに相手は十八、九の美女たおやめと来ていやがる」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一般の善男善女の前には生仏いきぼとけと渇仰される生仏だから、仏の一種に相違あるまい、その仏を迷わせて地獄におとしたのが、今のあの手弱女たおやめだ。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
雨が二階家にかいやの方からかかって来た。音ばかりして草も濡らさず、裾があって、みちかようようである。美人たおやめれいさそわれたろう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その昔、なにがしの君が大堰川のほとりで蹴鞠けまりの遊びを催されたときに、見物のうちに眼にとまるような嫋女たおやめがあった。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
きっぱりとわせ、折鶴の紋のついた藤紫の羽織はおり雪駄せったをちゃらつかせて、供の男に、手土産てみやげらしい酒樽たるを持たせ、うつむき勝ちに歩むすがたは、手嫋女たおやめにもめずらしいろうたけさを持っている。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
阿闍梨は眼を据えて、今ここへ立ち現われた艶女たおやめの姿をじっと見つめていると、玉藻はうやうやしくそこに平伏した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
泰親はさきに山科の玉藻の住家を凶宅とうらなって、それからだんだん注意していると、玉藻という艶女たおやめは形こそ美しい人間であれ、その魂には怖ろしいあやかしが宿っている。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
身近を通った跫音あしおとには、心も留めなかった麗人たおやめは、鳥の唄も聞えぬか、身動みじろぎもしないで、そのまま、じっと。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
留南奇とめきかおり馥郁ふくいくとして、ふりこぼるる縮緬ちりめんも、緋桃ひももの燃ゆる春ならず、夕焼ながら芙蓉ふよう花片はなびら、水に冷く映るかと、寂しらしく、独りしおれてたたずんだ、一にん麗人たおやめあり。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
六波羅ろくはらやかたとかまた平家の門葉もんよう第宅ていたくには、夜となれば月、昼となれば花や紅葉、催馬楽さいばらの管絃のに、美酒と、恋歌こいうた女性たおやめが、平安の夢をって、戦いと戦いとの、一瞬の間を、あわただしく
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに対して、お誓の処女づくって、血の清澄明晰せいしょうめいせきな風情に、何となく上等の神巫みこ麗女たおやめの面影が立つ。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)