艶女たおやめ)” の例文
旧字:艷女
阿闍梨は眼を据えて、今ここへ立ち現われた艶女たおやめの姿をじっと見つめていると、玉藻はうやうやしくそこに平伏した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
泰親はさきに山科の玉藻の住家を凶宅とうらなって、それからだんだん注意していると、玉藻という艶女たおやめは形こそ美しい人間であれ、その魂には怖ろしいあやかしが宿っている。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
関白忠通は二日酔いらしい蒼ざめたひたいの上に蒼い筋を太くうねらせて、扇を膝にきっと突き立てたままで、自分の眼の前に泣き伏している艶女たおやめの訴えをじっと聞き済ましていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)