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せうかいじやう
御米は
善良な
夫に
調戯つたのを、
多少濟まない
樣に
感じた。
宗助は
其翌日すぐ
貰つて
置いた
紹介状を
懷にして、
新橋から
汽車に
乘つたのである。
その
角はま、と
夫人とに、
紹介状を
頂戴して、
春葉と
二人で
出かけた。あゝ、この
紹介状なかりせば……
思ひだしても、げつそりと
腹が
空く。……
この
時、
神通を
顯して、
討死を
窮地に
救つたのが、
先生の
紹介状の
威徳で、
從つて
金色夜叉夫人の
情であつた。
同時に
彼は
勤を
休んでわざ/\
此所迄來た
男であつた。
紹介状を
書いて
呉れた
人、
萬事に
氣を
付けて
呉れる
宜道に
對しても、あまりに
輕卒な
振舞は
出來なかつた。