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せいきふ
「
構あねえで
置け、
耕つてあつちへ
行つてからにしろ」
勘次は
性急に
嚴しくおつぎを
止めた。おつぎは
仕方なく
泣くのも
構はずに
耕した。
年の
若い
丈、
凡てに
性急な
小六は、
兄に
頼めば
今日明日にも
方が
付くものと、
思ひ
込んでゐたのに、
何日迄も
埒が
明かないのみか、まだ
先方へ
出掛けても
呉れないので、
大分不平になつたのである。
「おつう
支度して
見ろ、
俺連れてんから」
勘次は
性急におつぎを
促し
立てた。
大戸の
鍵を
外から
掛けて三
人が
庭に
立つた
時月は
雲翳を
遠ざかつて
靜かに
柹の
木の
上に
懸つて
居た。
後の
林が
性急に
騷いでは
又靜まつてさうしてざわ/\と
鳴つた。
北風が
立つたのだ。