“すさま”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
96.7%
1.4%
凄然0.5%
0.5%
物凄0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ただ一呑ひとのみ屏風倒びょうぶだおしくずれんずるすさまじさに、剛気ごうき船子ふなこ啊呀あなやと驚き、かいなの力を失うひまに、へさきはくるりと波にひかれて、船はあやうかたぶきぬ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌日よくじつあめ晴間はれまうみく、箱根はこねのあなたに、砂道すなみち横切よこぎりて、用水ようすゐのちよろ/\とかにわたところあり。あめ嵩増かさまながれたるを、平家へいけ落人おちうどすさまじきたきあやまりけるなり。りてづく、また夜雨よさめたき
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それより情死の事由をつらね、更に一転してその苦痛と応報とをぶ。「あやなき闇に凄然すさまじや、閻羅えんらと見ゆる夏木立」。
窓越しに仰ぐ青空は恐ろしいまでに澄み切って、無数の星を露出している。嵐は樹にえ、窓に鳴ってすさまじく荒れ狂うている。世界は自然力の跳梁ちょうりょうに任せて人の子一人声を挙げない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
武士の子というほこりはあったにしても、幾日も幾月もの間、小さい余吾之介は、その物凄すさまじい幻に悩まされて、内証でふるえていたことを思い出したのです。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
寒さのとつつきのこの空虚からつぽな座敷の中は唯お互の心を一層すさましくさせるばかりだつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)