すさま)” の例文
だが、竹之丞もお艶も、まだ、路傍みちばたから起き上らなかった。内蔵助の前には、合羽の男よりは、むしろすさまじい血相をした三名の浪人が、こじりをそろえて、めつけているのだ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌日よくじつあめ晴間はれまうみく、箱根はこねのあなたに、砂道すなみち横切よこぎりて、用水ようすゐのちよろ/\とかにわたところあり。あめ嵩増かさまながれたるを、平家へいけ落人おちうどすさまじきたきあやまりけるなり。りてづく、また夜雨よさめたき
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それから時々とき/″\すさまじいおとがしたり、まるさらなべ粉々なこ/″\打碎うちくだかれるやうに。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
どどどど——とすさまじく暴れる音が起った。誰か、炭部屋のうちへ入ったのかと思ったが、そうではなかった。ただ一人残っている者が、何処かを破壊しようとして、盲目的に動いているものらしい。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)