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しんぐわい
さすれば
無用の
費を
節せむ、
汝一人の
奉公にて
萬人のためになりたるは、
多く
得難き
忠義ぞかし、
罪無き
汝を
辱しめつ、
嘸心外に
思ひつらむが、
予を
見棄てずば
堪忍して、また
此後を
頼むぞよ
通常の
人間は、
可い
事も、
惡い
事も
皆身外から
求めます。
即ち
馬車だとか、
書齋だとかと、
然し
思想家は
自身に
求めるのです。
『
暖い
閑靜な
書齋と、
此の
病室との
間に、
何の
差も
無いのです。』と、アンドレイ、エヒミチは
云ふた。『
人間の
安心と、
滿足とは
身外に
在るのではなく、
自身の
中に
在るのです。』
然うぢや
無いです。
貴方も
愈〻深く
考慮るやうに
成つたならば、
我々の
心を
動す
所の、
總ての
身外の
些細なる
事は
苦にもならぬとお
解りになる
時が
有りませう、
人は
解悟に
向はなければなりません。