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しゆつぼつ
若し
然なくば
隱見出沒、
氣長く
我船の
後を
追ふ
内、
本船が
何時か
海水淺き
島嶼の
附近か、
底に
大海礁の
横る
波上にでも
差懸かつた
時、
風の
如く
來り、
雲の
如く
現はれ
出でゝ
時に
神學の
議論まで
現はれて一しきりはシガーの
煙を
熢々濛々たる
中に
六七の
人面が
隱見出沒して、
甲走つた
肉聲の
幾種が
一高一低、
縱横に
入り
亂れ、これに
伴ふ
音樂はドスンと
卓を
打つ
音
或時は
日の
出づる
立山の
方より、
或時は
神通川を
日沒の
海より
溯り、
榎の
木蔭に
會合して、お
月樣と
呼び、お
十三と
和し、パラリと
散つて
三々五々、
彼杖の
響く
處妖氛人を
襲ひ、
變幻出沒極りなし。