“うすもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
52.3%
羅衣18.2%
薄物5.3%
軽羅5.3%
羅物3.8%
薄衣3.8%
綾羅3.0%
2.3%
薄紗1.5%
輕羅1.5%
羅織0.8%
薄絹0.8%
薄羅0.8%
軽紗0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
裸体に蓑をかけたのが、玉を編んでまとったようで、人の目にはうすものに似て透いて肉が甘い。脚ははぎのあたりまでほとんどあらわである。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その柔かな羅衣うすものを隔てて彼女の胸に抱きかかえられてしまっては、私は全くしてはならないことをしたようで、自分の息が臭くはなかろうか
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
全身の豊満な肉体を露出するよりは、薄物うすものまとうた姿にかえって情調をそそられるといったような心理もないではない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「さあ、わしには解らない」こう云ったのは六十五六歳、葉洩れの月光に映じた姿、脚絆きゃはん甲掛こうかけ、旅装い、軽羅うすものの十徳を纒っている。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
洞穴のようにうつろな胸、睫毛まつげのない眼、汚点だらけの肌、派手なKIMONO、羅物うすもの下着シミイズ、前だけ隠すための無花果いちじくの葉の形の小エプロン——そんなものが瞥見される。
黒い薄衣うすものに、同じ薄ものの露頭巾をかぶり、大小をさし、草履ばきで、すたすたと行くうしろ姿が——肩のやさしい線が——どこかお袖と似ているようでもあった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七重ななえなる綾羅うすものの下にちりばめし「悪徳」の金剛石。
笠のうちこそ見物みものだと思って心配するがものはない、前半の一文字笠が、その瞬間、うすもののように透きとおって、かおが蛍の光のように蒼白あおじろく夜の色を破って透いて見えるのです。
君は透見すきみゆる霞の如き薄紗うすものの下に肉色したる肌着マイヨをつけ給ひたれば、君が二の腕、太腿の、何処いづくのあたりまでぞ、唯一人君を寝室ねべやに訪ふ人の、まことに触れ得べき自然の絹にして
舞姫 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
白きを透かす輕羅うすもの
鬼哭寺の一夜 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
野袴のばかま穿き、編笠あみがさをかむった、立派なみなりのお侍様五人が、半僧半俗といったような、まるめたおつむ頭巾ずきんをいただかれ、羅織うすもの被風ひふをお羽織りになられた、気高いお方を守り
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
同じ船の中の水夫の姿さえ、薄絹うすものの奥にあるようだ。朦朧もうろうとして見究められぬ水を見ようと覗いて見ても、湖水の蒼い水の代りに、乳色の濛気もうきを見るばかりだ。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
稍それと趣の似たものに、好みの長襦袢の上へ薄羅うすものを着たのは、用ひかたによつて面白いが、それへ羽織を着られると、すつかり嫌なものになつてしまふ。
夏の女 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
その軽紗うすものを漉して射す日の光が、茶の葉をおもむろに柔かく育て、駿河・遠江にわたるかみなかしもの川根のお茶をあんなにうまくさせてゐるのである。
お茶好き小話 (新字旧仮名) / 吉野秀雄(著)