綾羅うすもの)” の例文
二十歳はたちか二十一、二とも思われる、女の姿のまた窈窕あでやかさ! しなやかな首筋はすんなりと肩へ流れて、純白女神のごとき白絹の綾羅うすものを装うていた。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
七重ななえなる綾羅うすものの下にちりばめし「悪徳」の金剛石。
まとへる綾羅うすものいろをわかみ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
ふさふさと豊かに垂れた金髪に桃金花てんにんか花綵はなづなを結んで、薔薇色の頬、蒼穹のように澄み切ったひとみ! 雪白の綾羅うすもの裳裾もすそ長く地に曳きながら、今私の方へ歩み寄ってくる姿というものは
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ある朝は銀行へ出勤することも忘れて恍惚うっとりと書斎の窓越しに、庭を逍遙する妻の綾羅うすものを通した姿体に見惚れていたこともあり、殊に私にとってえられなかったのは夕暮浴室の前を通りかかると
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)