こう)” の例文
幸いお延がお秀の後をおっかけて出た事は、下女にも解っていた。偶発の言訳が偶中ぐうちゅうこうを奏した時、津田は再度の胸をおろした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つぎ御小姓組おこしやうぐみなる勤仕きんしこうあらは有章公いうしやうこうの御代に御徒頭おかちがしらとなり其後伊勢山田奉行ぶぎやう仰付られ初て芙蓉ふよう御役人のれつに入りけるなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この成算せいさんがあったので、龍太郎は四日のあいだに、四百の兵を引きうけた。そして、その機智きちが、意外に大きなこうをそうした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孤軒老師のおしえで、広海屋と長崎屋を、深刻に噛み合せるために計った、あの策略が、どんなこうを奏したか、もう結果がわかるころであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
しかしこの説明せつめいこうそうせなかつた。子供こどもにはむかし寒山かんざん文殊もんじゆであつたのがわからぬとおなじく、いま宮崎みやざきさんがメツシアスであるのがわからなかつた。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
壮二君の子どもらしい思いつきが、ぐうぜんこうそうしたのです。賊が、わなをはずそうともがいているあいだに、四ほうから人々がかけつけました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
れも矢張やは其中間そのなかまの一枚板まいヽたにて使つかみち不向ふむきなれども流石さすがとしこうといふものかすこしはおまへさまよりひとるし
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きつねは千ねんたつとうつくしい人間にんげんの女にけるものです。わたしも千ねんこうむと、きれいなむすめ姿すがたになりました。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しやうき、(八九)田文でんぶんしやうとせり。呉起ごきよろこばず。田文でんぶんつていは(九〇)こうろんぜん、ならんか』と。田文でんぶんいはく、『なり』と。
政府はほとんど全国の兵をげ、くわうるに文明精巧せいこう兵器へいきを以てして容易よういにこれを鎮圧ちんあつするを得ず、攻城こうじょう野戦やせんおよそ八箇月、わずかに平定へいていこうそうしたれども
「ええ、こう六級の曹長そうちょうでございます」こたえながらも、こんなことが父の失踪に何の関係があるのかと、トシ子は探偵の頭脳あたまやや失望を感じないわけにゆかなかった。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
し九仭のこうを一に欠くあらば大遺憾だいいかんの至りなり、ねがわくは此一夜星辰をいただきて安眠あんみんするを得せしめよと、たれありてか天にいのりしなるべし、天果して之を感ぜしか
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
トルストイ、ツルゲネーフとう吾人ごじんひさしくこれけども、ドストイヱフスキーの著書ちよしよいたりては吾文界わがぶんかいこれ紹介せうかいするのこう不知庵フチアンおほしとはざるからず。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
〔評〕維新のげふは三藩の兵力に由ると雖、抑之を養ふにあり、曰く名義めいぎなり、曰く名分めいぶんなり。或は云ふ、維新のこう大日本史だいにつぽんし及び外史にもとづくと、亦しとせざるなり。
べつ私等わしら相談さうだんたつしやるにおよぶめえが、奥様おくさまのおうへぢや、出来でき手伝てつだひならずにはられぬで、としこうだけも取処とりどこがあるなら、今度こんどつくらつしやるに助言ぢよごんべいさ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大佐たいさこうまさ朝日島あさひじま出發しゆつぱつせんとする瞬時わづかまへ震天動地しんてんどうち大海嘯おほつなみために、秘密造船所ひみつざうせんじよ倉庫さうこくだけて、十二のたる流失りうしつしたことから、つひ今回こんくわい大使命だいしめい立到たちいたつたまで大略あらまし
さもなくば、このおそろしい懷劒くわいけん難儀なんぎ瀬戸際せどぎは行司ぎゃうじにして、としこう智慧ちえちから如何どうともうせぬ女一人をんなひとり面目めんもくいまこゝで裁決とりさばかす、くだされ。さ、はやなんとなとうてくだされ。
人肌ひとはだにてあたゝむはもつともよし)手足てあしこゞえたるもつよ湯火たうくわにてあたゝむれば、陽気やうきいたれば灼傷やけどのごとくはれ、つひにくさりゆびをおとす、百やくこうなし。これが見たる所をしるして人にしめす。
かえってわれわれの判断が誤りやすい、すなわちわれわれの忠告はこうそうしない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
妒婦とふやしなひがたきも、いての後其のこうを知ると。ああこれ何人のことばぞや。
しょうこう成りて万骨ばんこつるという古言があります、ひとりの殿様がお城をきずくに、万人の百姓を苦しめました、しかも殿様は英雄とうたわれ百姓は草莽そうもうの間につかれて死にます、清盛きよもり頼朝よりとも太閤たいこう
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
中村は少しへこまされたかども有るが、この人は、「肉の多きややいばその骨におよばず」という身体からだつきのとくを持っている、これもなかなかのこうを経ているものなので、若崎の言葉の中心にはかまわずに
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
国事犯の書生っぽをつかまえたよりゃ、こうがあるのでしょう
警察署長 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お前は螢雪けいせつこうということを知っているかい?」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
届出とゞけいでずして我儘わがまゝ出立しゆつたつせば、あるひはこう
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ぜんまいこう 冬 第二百八十七 季節の食物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
わけて、中入りの戦いに、切レを取り損じては、九仭きゅうじんこう一簣いっきに欠こう。くれぐれも、引揚げの機を誤るなよ。風の如くいて、風の如く去れよ
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最後に小生は目下我邦わがくににおける学問文芸の両界に通ずる趨勢にかんがみて、現今の博士制度のこう少くしてへい多き事を信ずる一人なる事をここに言明致します。
博士問題の成行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そんなことはない。佐々砲弾が東京の新聞に君の説を細大洩らさず連日の紙上に書いた。君は明かに金鵄勲章きんしくんしょうこう一級というところだ。学界はいま大沸騰だいふっとうをしているよ」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
第一番にわた諫皷かんこは二番にわたしけるが或時あるとき祭禮さいれい彼猿かのさるの出しつくらふひまに先へぬけたり此時よりして鳥の出し一番にわたるとの嚴命げんめいにてながく一番とはなりにけり是天下太平のこうなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
〔評〕南洲かつて東湖に從うて學ぶ。當時たうじ書する所、今猶民間にそんす。曰ふ、「一寸いつすん英心えいしん萬夫ばんぷてきす」と。けだ復古ふくこげふを以て擔當たんたうすることを爲す。維新いしん征東のこう實に此にしんす。
(六六)周澤しうたくいまあつからざるに、しか(六七)きはめてなれば、せつおこなはれてこうるときはすなは(六八)とくく、せつおこなはれずしてはいるときはすなはうたがはれん、かくごとものあやふし。
さと言葉ことばらぬも、こひにはをんなさかしうして、そでたもとおほひしが、月日つきひつまゝ、つるはさすがにとしこうおのかしらいろふ、むすめちゝいろづきけるに、總毛そうげふるつて仰天ぎやうてんし、あまね掻搜かきさがして
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こうとならずして、かへつとがめのあらむも
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
沢庵たくあんこう 春 第七十五 十日に十色といろ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
こうそうする忠告とそうせぬ忠告
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
(木内を殺したこうさ)
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
けつしてそんになる氣遣きづかひ御座ございません。十ぷんすわれば、十ぷんこうがあり、二十ぷんすわれば二十ぷんとくがあるのは無論むろんです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかも彼は、後月あとげつの十八日、こうはやって、小牧山の敵の堅塁へいどみかかり、惨憺さんたんたる敗北をうけている。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぞくほつするところつてこれ(二五)あたへ、ぞくとするところつてこれる。まつりごとすや、わざはひつてさいはひし、やぶれをてんじてこうし、(二六)輕重けいぢうたつとび、權衡けんかうつつしめり。
〔譯〕臨時りんじしんは、こうを平日にかさぬればなり。平日の信は、こうを臨時にをさむべし。
吟味ぎんみ致したりと申せども全くは左樣にはあらざるべし其方が心付しに相違さうゐあるまいな其方重役ぢうやくの身を思ひこうを他にゆづる心なるべし予が眼力がんりきによも相違は有るまじとさいおほせらるゝに越前守おそれながら言葉ことば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
梅干うめぼしこう 春 第五十 梅干の功
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
その一つの方法を聖道門しょうどうもんといい、その一つの方法を浄土門というのでありますが、目的とするところは、いずれも、この娑婆しゃば世界にあって、ぎょうを立て、こうを積みて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(六九)貴人きじんけいて、みづかもつこうさんとほつするを、説者ぜいしやあづかりればすなはあやふし。(七〇)かれあらはだすところことり、すなはみづかもつ也故たこすに、説者ぜいしやあづかりればすなはあやふし。
軍師ぐんし威命いめいおこなわれず、命令が二からでて、たがいにこうをいそぐこと、兵法の大禁物だいきんもつである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに伊那丸いなまるは、竹童かえるの声をきくと、みずから幔幕まんまくをしぼってそれへ立ちいで、人穴城ひとあなじょういらいのこう称揚しょうようして、手ずから般若丸長光はんにゃまるながみつ脇差わきざし褒美ほうびとして、かれにあたえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浅慮者あさはかものめがッ。これでまず九仭きゅうじんこう一簣いっきに欠いてしもうたわ。思えば、きさまの如き無謀小才こさいなやつを大望の片腕とたのんだなどがすでに尊氏のあやまりだった。返す返すも残念な
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みなお次のこうといえる。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうなき関羽かんう
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)